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恋愛リレー小説 - 同性愛♂

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nao 17

俺は先頭の席から外を眺めながらそんなことを思い出していた。

なんでだったっけな。

ぼんやりとそんなことを考える。

車内アナウンスが俺が降りる駅名を知らせる。

慌てて席から立ち上がり、地下鉄を降りる。


────
久しぶりに来たな。

映画を一人で見ること、別に俺は嫌いじゃない。
むしろ一人で家で見るほうが苦手だ。

映画館で観たほうが物語りに引き込まれるし、何より迫力が違う。


今日観た映画は今話題の大作で。
事前に本を読んできた俺にとっては、大満足の作品だった。
授業までまだ時間があったから、なんか食べて帰ろうかと思い、映画館が入っているモールの下の階をぶらぶらすることに決めた。

何とはなしに入った店で、俺は久しぶりに朋子に会った。

「いらっしゃいませ、こちら本日のお勧めになります。」

そういって手渡されたメニューを眺めていると、

「…あきらくん?」

えっ、っと思わず間抜けな声を出して顔を上げると、同じように驚いた顔のトモコがいた。
久しぶりにあったトモコは、少し痩せた気がした。

そのことを言うと、なんだか悪い気がして言えなかったけど。

「久しぶりだね。」

「…ここでバイトしてたんだ。」

とりあえずお勧めで出されたメニューの一つを指差す。

「ドリンクはどうなさいますか?」

営業スマイルで対応するトモコがなんだか面白くて、俺はなんだか笑ってしまった。

「けっこう長いんだよ?知ってたから来てくれたのかと勘違いしちゃうとこだったなぁ。」

そう言ってパタパタと品物を用意する姿は、堂に入っていて。トモコの話を裏付けていた。
ナイショだよ?
と言って、ポテトまで付けてくれた。

ドリンクも俺が頼んだサイズよりもでかい気がする。

「ありがと。」

店内が込んできたのでそれだけ言うと、俺は適当な席に腰を下ろした。

普段はあんまり人込みの中で食べないので、なんだかいたたまれなくて。

とりあえず完食すると、ゴミを捨ててトレイを返却口に乗せる。

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