トワイライト☆ドルチェ 9
葵は丁寧にジンを座布団の上に置き向かい合って座っていた
「どうしてハルクさんが嫌いなんですか??」
葵は思い切って訪ねてみた
「…それを聞くにゃあちぃっとばかし長話になるけど…」
ジンはニヤリと笑った。
「…昔々ここから遠い国で戦争が起こった…そこに一人の男と一人の女がいた」
ジンは淡々と話始めた
「二人は恋人だった…だがその国で幸せを掴むためには戦い続けるしかなかったのさ。男は銃を使い女の幸せを守り続けようと誓った…」
「それって…」
葵はつぶやいた
「まぁ黙って聞いてくれよ」
ジンは苦笑した
ーーー
「死なないでね…」
「いつも言ってるだろ?俺は簡単には死なねぇよ」
「…うん」
ギュッと男を抱き締め顔をうずめた男は抱き返し女の頭に軽く口をつけた
「必ず帰ってくる、帰ってきたら…」
女は顔をあげ
「帰ってきたら…?」
「…いや…その…」
耳まで赤くなり横をむいた
「…言って…なに?」
男は女の目をみて
「…結婚…しよう」
女も顔を赤くし男をまた抱きしめ
「…うん」
男は女から離れた
「じゃ…いってくるな」
「うん…いっらっしゃい」
泣きそうな笑顔で見送った
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そこでジンは一旦言葉を切った
「でも男は無事な姿で女の元へ戻ることはなかった…」
ジンは少しさみしそうな声になり続きを語った
「………男の身体は肉片一つ残らなかった…ただ一つ…残ったのは『女を守り続ける』と誓いをこめた銃だけだった…女のもとに帰ってきたのは愛する男ではなく男の気持ちのこもった銃だけだった…って悲しい話さ…」
ジンは苦笑いとも泣きそうとも言える声で話を締めくくった
「ひっく…ぐす…そんなの…かなしすぎます…」
葵は泣きじゃくった
「はは…つまらない話ししちゃったな」
「…いいえ、話してくれて…ありがとうございました」
葵は深く頭を下げた
「はは…もう遅いし今日はもう寝よう」
「…はい、お休みなさい」
葵は布団に入りすぐ寝てしまった
「…なんでかな、話しちまったけど…」
ジンは暗い部屋の中一人つぶやいた
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翌日、四人はこれからの旅の準備のため町の中で買い出しをすることにした。
町は幸い活気に溢れていた。ここならばカスタムパーツや葵の情報も発見できるかもしれない
「ふあぁ…よく寝たわ。」
翡翠があくびをかみ殺して言った
「私こんな町をウロウロするの初めてだから楽しみです♪」
葵はニコニコと楽しみで仕方ないというように笑った