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初カレ
恋愛リレー小説 - 初恋

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初カレ 9

「葵!」

『あ 西沢』

前方には制服姿の西沢がいてどんどんとこっちに近づいて来る

「なにー?きみの知り合い?」

「葵 行くぞ!」

『あー うん…お兄さん御免アタシ高校生なの』

「えっ!?」



お兄さんはすごいビックリしてたのでアタシはちょっとショックだった

『アタシ老けてんのか』

「そんな事よりお前学校来いよな
何があったか知らねーけど 弱すぎだろ!逃げんなよ」

『…いいじゃん別に
逃げ回れるだけ逃げるよアタシは…今までだってそうしてきたじゃん』

葵がふてくされると西沢も困ったようにため息をつく

『それより西沢はなんでこんな所にいるの』

「明日から夏休みだろ!今日は終業式で午前中だけだ」

『なんだ…学校来いもなにも休みなんじゃん』

「野球部…お前一応マネージャーなんだろ?」

『行かないよ』

「なんで」

『やる気ないから…野球なんて分かんないし』

「お前なぁ…」


『あのさー』

「なんだよ…」

『うるさいんだけど』

「なっ…」

『アタシのことなんてほっといてよ!』

「…そーかよ マジおめー無理…ざけんじゃねー」



西沢はそう言うと もう葵を見ずに足早に去って行った




『ほんとサイテー…アタシも無理だよ 自分が』

葵は一言そうつぶやいてから行き先も分からずに歩き出す




どのくらい歩いただろう
気付いたらもう辺りは真っ暗で 高いヒールをはいた足は疲れきっていた


すぐそばには最近めっきり行かなくなった学校


もうすぐ家だと思いながら曲がり角をまがると 前方にランニングしている野球部員2人が見えた

その1人はまぎれもなく前田亮平だと葵は分かってしまう

気付かれないように家に帰ろうと思うのに 話の内容に足を止めてしまった



「なぁ藤末さんあれから来ないな…こう学校に来ない時って売りやってるってマジかな?」

「え?」

「知らねーの?そういう噂」

「…まぁ確かに 見た目派手だからあり得そーだよな」


正直変な噂があるのは知っていた
特にたいしたことしてないのに目立つみたいで そんなんは中学の頃から分かっている

だから慣れてる…

慣れてるはずなのに 亮平に噂を否定されないだけで涙が頬を伝う
瞬きをしないでも容量がいっぱいになった涙は後から後からこぼれてくる


このまま気付かれないで離れたい
そう思うのになんでそうさせてくれないんだろう…
葵は本気で神様なんていないと感じた



だって 亮平が何を思ったか急に後ろを振り返ったから…




「…葵…」




名前を呼ばれて 目が合う

一瞬だけ…


それ以上は耐えきれずに葵の足は動きだした

疲れでガクガクしてまともに走れないけど もう少しで家だ

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