初カレ 1
「え〜!葵ってマジで男と付き合ったことないの!?」
「…るさいなぁ。私だって付き合ってみたいってば…」
私、藤末葵。友達の言う通り、今まで生きてきた16年間、ずっと男の子と付き合ったことがない。
この人と出会うまでは…
「マジかよ?!お前、付き合ったことないの?!」
後ろの席からバカにしたような声が聞こえたので、葵は振り返ってその人物を睨みつけた。だが、その人物が怯むことはなく、しみじみと葵を見ながら更に続ける。
「高校生にもなって、彼氏いない歴が年齢と同じって……希少生物を見つけた気分だぜ」
「西沢、あんたねぇ……!」
その時、見たことのないかっこいいカンジの男の子が廊下を通った。
「ねぇ清美、今の誰?」
「え?…あぁ、前田亮平の事?昨日隣のクラスにきた転校生だよ!」
「へぇ〜」
「なになに?一目惚れしちゃった??」
清美がにこにこしながら葵に言う。
「そんなんじゃないってば!」
「え〜?」
西沢はそんな風にやってる2人を見て、なんだかおもしろくなかった。
「そいやぁさぁ委員長のアンケートとってたじゃん。清美誰にしたぁ。」
アンケート用紙を取り出しつつ話をそらした。
「私はもちろん葵よ。」
・・・
「なんでよー!やめてよ!西沢は?」
ぼーっとしている西沢。「もーっ!どうしたの?聞いてる?」
「…え?あ、俺は沢田に入れた!あいつ頭いいじゃん?」
「確かに。でもアタシは葵みたいなバカに委員長やってもらった方が絶対クラスが楽しくなると思うのよ!」
「あ〜、それもそぉだな!」
「いい加減に…」
葵がキレそうになった時、ちょうど放送がはいった。
『1年3組藤末葵、職員室鬼山まで今すぐ来なさい。』
鬼山とは学年主任の先生で、怒るとかなり恐ろしい為生徒から嫌われている。