初カレ 2
「げ…清美ぃ〜、アタシなんかしたっけ?」
「したんじゃん?担任じゃなくて学年主任の鬼さんから呼び出されるってちょっとレアだよ…」
「だよね…行ってきまぁす…」
廊下に出ると、みんなが可哀相な目で葵を見ていた。校内に放送されたから鬼山に呼び出された事を知っているのだ。
ガラッ―
「失礼しまぁす…」
「おぉ、藤末!こっち来い!!」
葵を呼んだ鬼山の所にはさっきの転校生もいた。その隣に並ぶと、鬼山は話をしはじめた。
「藤末、お前は今回の期末テストの順位が学年で最下位だった。今まで黙っていたけど、中間でも最下位なんだよ。」
鬼山はあきれたように葵を見た。
「はぁ…」
葵はというと、鬼山と目を合わせないように下を向いている。
「でだ、一学期の赤点は学年でお前だけだから前田と一緒に補習をやってもらう事になった。今日の放課後から頑張れよ!」
鬼山はそう言って葵と転校生に課題のプリントを手渡した。
「えっ?前田亮平と補習!?」
西沢が叫んだ。
「だからそぉだ!って言ってるでしょ?今から2人でやるの!!だから先に帰っててよね!じゃ、明日ねぇ〜〃」
葵は手を振って教室から出ていった。
「西沢、どぉするの?」
清美がにやにやしながら西沢に問い掛けた。
「別に…どぉもしねぇよ…俺帰る。」
「面白くなぁ〜い…ねぇ待って!アタシも一緒に帰る!!」
進路指導室―
「アタシ3組の藤末葵!葵でいいよ!!」
「俺2組の前田亮平。亮平でいいから。」
自己紹介もそこそこに2人は課題に手をつけはじめた。
(はぁ〜…分からない。もうカナリ時間たってる気がするんだけどなぁ…30枚くらいあるのにまだ2枚しか終わってないのか…)
「ふぅ〜、終わった!」
「えっ!?」
葵はびっくりしすぎて思わず声を出してしまった。
「亮平って頭いいの!?一緒に補習やるくらいだからバカなのかと思ってた…」
亮平が呆れながら笑う。
「俺はテスト受けてないからこの課題をやってんの!一応前にいた学校は結構有名な進学校だったんだぞ!」