〜再会〜 57
「ちょっと一回整理しよ?」
眉間にしわをよせ片手でこめかみを押さえながらそう言う恋歌に、途中で話を遮られた薊は少し不服そうな顔になる。
「…なんだよ?」
「えっと…いま、あたしの話してるんだよね?」
確認するように薊を見やれば、優しげだった薊の顔がすこし歪んだ。
「はあ?この状況で他に誰の話すんだよ」
「そっそうだよね!えっと、じゃあ『アイツ』って誰…?」
恋歌が上目遣いでおそるおそるそう聞くと薊の眉間の皺はいっそう深くなる。
「…お前、それ俺に言わすの?」
え、と固まる恋歌に大きなため息をつくと、薊は不服そうな顔をして
「………お前俺に言ったじゃん、隣のクラスの奴がきになるって。」
と言った。
「……………あ」
そういえば勢いに任せてそんな事を口走ってしまった気もする。
いろんな事がありすぎて恋歌はその事をすっかり忘れてしまっていたのだ。
そんな事とは露知らず、横では薊が言葉を続ける。
「高野…って奴だろ?お前が好きなの。さっきは悪かったな。ひどいこと言って。」
そう言うと薊はぺこりと軽く頭を下げる。
あの薊にそんな風に頭を下げられて、いよいよ今更あれは勢いで言ったでまかせですなんて言いづらくなる恋歌。
「ごめん薊、その事なんだけど…」
覚悟を決めた恋歌の言葉を今度は薊が遮る。
「いや、謝んなよ。兄貴からお前の好きな奴の事聞いたこともあって、お前と話してるとこ見たらついカッとなっちまって…」