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サクラ
恋愛リレー小説 - 初恋

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サクラ 6

教室はもう誰も残っていない。静まり返っている教室はなぜか心が落ち着いた。席につき窓から見える夕陽を見ていた。
目を閉じ深呼吸。立ち上がりグランドへ向かおうとした。すると、「佐々木?」藤永いた。


「…お、おはよ」たぶんあたしはすごいマヌケな顔していたと思う。「あははは!佐々木、もう今晩はの時間じゃん」
藤永はあたしをじっと見つめている。あたしは恥ずかしくなり目をそらした。「佐々木…嘘は駄目だよ」
「え?」
いきなり何を言い出したのかと思い、藤永を見ると藤永は外を指指した。あたしはその方向を見てみる。
「あ、」思わず声が出た。海里がいる。
「俺は佐々木の事好きだよ。付き合えたらいいなぁってずっと思ってた。でも今は佐々木が素直になってほしいって思ってる」真っすぐな気持ちが胸に響いた。
あたしは藤永に何か言わないと、思ったけど何も言葉が出てこない。
嘘は駄目そんな当たり前の事、頭ではわかっている。でも嘘をついてその場が丸く収まる事もある。何を言えば…「早く行っておいでよ」あたしは走り出していた。「ありがとう!」
藤永はこんなどうしようもないあたしを好きになってくれた。あたしはその気持ちに応えられないけど、せめて素直になろう。「海里!!」海里は驚きサッカーボールをおかしな所に蹴飛ばした。「莉子…」
「あたし海里にひどい事しちゃったよね」
海里は首を横に振った。「ごめんね」
「俺が悪いんだよ」
「違う、あたしが自分の気持ちに素直になってたらこんな事にはなってなかった」
海里はあたしを見ている。
「好きよ、ずっと前から」
「……」
あたしは海里が誰が好きでいてもいい、ただ気持ちを素直に伝えて今までは言えなかった事も言えるようになりたかった。「それ本当?」
「え?」
拍子ぬけする返事だった。「本当よ」
あたしは海里に微笑んでみせた。

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