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パニックスクール
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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パニックスクール 13

「冗談だ、冗談。とは言っても、俺ら今日始めて知り合ったばかりだぜ。そう言われてもなぁ」
からかわれた光恵は少々気分を害するが洋平が謝ることで落ち着く。そして曖昧に、されど困った風に答えを返す。
だが、洋平が言っている事も正しい事は正しい。今日始めてあったばかりで互いを理解していないうちから付き合っては精神的に傷つくだけだ。
友達になって暫くして告白してならまだ分かる。だが、友達を飛ばして行き成り恋人として付き合えと言われても困るのだ。
「待ってください!!」
ガラッと保健室のスライドドアを壊す勢いで開けて入ってきたのは斉藤 絵美。
事故キスでの騒動で洋平が保健室に運ばれたのを知った絵美は洋平の様子を見に来たのだが、話し声の内容から焦ってしまった。
自分でも知らない内に洋平に惹かれ、気が付けばいつも洋平の事を考えてしまっている事が彼女は多くなっていた。
彼女は洋平の事が好きだとは思っていたが、あくまで片思いとしてではなく友人としてと思い込んでいた。だが、それは彼女自身も自覚していない恋心。
そして、話の内容を偶然聞いた事で胸の辺りがちくりと僅かな痛みが走る。それは誰にも洋平を渡したくないという想いから来る幻痛。
絵美は光恵に嫉妬した。だからこそ、これはヤバイ。幾らなんでも冗談じゃないわと。話の雰囲気を壊そうと勢いよく介入したというわけだ。
普段は引っ込み思案で自分の意思を余り出さない彼女だが、洋平が関わるとその限りではないらしい。それほど洋平の存在が大きいのだろう。
「斉藤?どうしたんだ」
「風紀委員の騒動で保健室に運ばれたって聞いたから心配してきたんです」
「そっか。わりぃな、心配かけちまって」
「いいえ。それより、先ほど責任とってて貴方言ってましたよね?話に聞けば、あれは事故じゃないですか。それも前方不注意の」
洋平を気遣いながら、話を切り替えて光恵を鋭い目線で睨む。これもまた普段の彼女には見られない珍しいことだ。
「でも、一回は一回よ。あなたも女なら分かるでしょ。だから、責任果たして貰わないとね」
「ふざけないで下さい。事故なら一回のうちに入らないでしょう。偶然とはいえ口同士ぶつかったぐらいで」
受けて立つとばかりに光恵も睨み返す。空中で互いの目線がぶつかり、火花が散ったような気がした。目の錯覚だろうが、洋平には少なくともそう見えた。
「おいおい、お前ら落ちつ……」

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