学園の花婿 250
「愛お姉ちゃん、早苗さんの手帳なら、僕のズボンのポケットの中に入ってるよ。」
早苗と愛の話を聞いている内に思い出した良一は愛に手帳の事を話した。
「良一、本当に見付けたの。」
思わぬ展開に目を丸くする愛。
「だってさっき愛お姉ちゃんに見せたじゃない。その後、愛お姉ちゃんケーキとジュースをご馳走してくれたじゃない。」
良一はここに来た経緯を愛に話した。
「そうだった…かしら。兎に角、ズボンのポケット見せてくれる。」
良一はうんと頷き早苗は良一の脱ぎ捨てられたズボンのポケットに手を入れた。
「あった、間違いないわ良かった。」
「…あっ……良一様…」
愛が取り出した生徒手帳を見て早苗の目から涙が溢れる。
「良一様!良一様っ!良一様ぁぁっ!!」
「うわぁっ!さ、早苗さん」
「良一ぃっっ!!」
正面から早苗に抱きつかれ、横からは愛から抱きつかれた良一はよろけてしまいそのまま後ろに倒れる。
「うぅぅ……良一様ぁぁ…」
「良かった、良かったわね早苗」
愛も涙を流し良一の快挙?を讃える。
「良一様、みっともない所をお見せして申し訳ございません」
良一の胸の中で散々涙を流した早苗は落ち着きを取り戻し、良一に泣き顔を見られたくないのかそのまま良一の胸の中で良一に謝る。
「…えっ…いいえ、大丈夫です……」
良一は早苗に謝られて何故か口どもりながら顔を真っ赤にするのだった。