学園の花婿 146
「ところでサラ…この部分だけ紙が濡れた後があるんだけど、これはどうしたの?」
麗那がその部分を指差しサラに見せると、サラの顔は一気に赤くなる。
「…いえ…その…」
そこにはもう少女の顔しかなく、サラはうつむいて何も言えなくなってしまった。
「ふふ…まあいいわ。私はちょっと用事があるから、良くんを任せるわね」
麗那は良一を起こさない様にサラに預けると部屋を出ていく。
良一を預けられたサラは円で壊れ物でも扱う様に良一を抱き締めるのであった。
学園長室を出た麗那は会議室に向かう。
そして会議室に到着すると、そこにはセリ、唯の二人が待っていた。
「お姉様、学園の存亡の危機にもなりかねない重大な事態って一体何があったのですか?」
セリが麗那の顔を見るや否や麗那に詰め寄る。
「…あのね…桃華ちゃんが良くんを生徒会の副会長にさせたいらしいの…」
麗那が真剣に言うと、セリと唯の顔も一気に青ざめる。
バンッ!!
「お姉様…もしかしてそれをお許しになるおつもりですか!?」
唯は普段からは全く想像できない様な勢いで机を叩くと、怒りを露にするのである。
「分からないわ…」
麗那はそう言うと塞ぎこんでしまう。
「何でですか!?そんなの反対に決まっているじゃないですか!?」
「唯ちゃん、待って!」
唯が麗那に迫ろうとすると、隣で見ていたセリが唯を制止する。
「何をするのですか、セリさんあなたは良くんが生徒会に入るの賛成なんですか?」
セリに食って掛かって来る激怒したセリであった。
「・・・生徒会は桃華ちゃんと愛ちゃんが仕切っているし、学園の子達は皆、良くんの虜だから、私は安心だから賛成ね。」
意外な提案をするセリであった。しかし、このセリの提案は普段は大人しい唯をブチ切れしてしまった。
「二人共止めなさい!私が悩んでいる理由がまだ分からないの!?」
セリと唯は麗那に近くても、現時点では麗那が単純な理由で悩んでいるという事に気付かない。
「すみませんお姉様…」
唯は麗那の言葉で少し我に返って一歩下がる。
「…はあ…私はね、良くんとの時間が無くなるのはこの学園の存亡の危機だと思っているの。良くんとの時間が無いという事は、この学園の存在意義そのものが無くなるのは二人にも分かるわよね?」
「「はい…」」
麗那が言葉の合間に二人を見ると二人は頷く。