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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 770

ヤマタノオロチや酒呑童子という人から怪物に変わった鬼の伝承は、どちらも酒を飲まされて討伐されている。
酒呑童子。もともと外道丸という者で、母親の腹に3年いて産まれたという。ヒルコは生まれて3年、立つこともできないままであったので葦舟に乗せ追放されたとされている。ヒルコは、現代の水子(みずこ)の語源となっている。
外道丸は、その後6歳で母親に捨てられ各地を放浪しているうちに鬼となったという説と、美少年で都の女性たちに惚れられたが、たくさんの恋文を読まずに焼き捨てた時に、煙を吸い込み気絶して目覚めると異様な容姿の屈強な怪物になっていたという説がある。
母親に捨てられたというのはヒルコの伝承と一致があるが、惚れられた女性たちの恋心が込められた恋文を興味を示さず焼き捨てたので祟られたというのは美少年のゲイであった可能性もある。
神の力を授かった隠(おぬ)がゲイとなると、子を産ませるイザナギの力は失われ、殺意に残った強い肉欲が結びつくということらしい。
イザナギはヒルコを高天原から葦舟に乗せ流した。イザナミは3年間手放さなかった。追放せずに滅ぼせなかったのは、日本神話だけでは理解できない。
聖戦シャングリ・ラの世界で賢者マキシミリアンが、古代エルフ族の知識から蛇神ナーガや、夜の女王ノクティスという神々を滅ぼすことが、人の心の根源的な部分と結びついているので滅ぼせず、異界へ追放することで調和を維持したと、妻のエルフ族の王族であるエルフィーヌに語っている。
夜の女王ノクティスは嫉妬や冷酷さ、つまり黄泉の国の女王としてのイザナミの性格を持っている。愛と豊穣の女神ラーナと夜の女王ノクティスというふたりの女神を合わせれば、女性の心には複雑な多様性があることがわかる。
死んで異界の黄泉の国へ去った女神イザナミを、男神イザナギは恋慕して蘇生させるために黄泉の国へ踏み込んだ。
そこで女性の多様性の力にふれイザナギは、肉欲や恋心ではなく、父性に目覚めて生還することになった。
そして、黄泉の国の穢れを清めることでアマテラスという女神、中性的で男神とも女神とも伝えられる神ツクヨミ、スサノオノミコトという男神を生み出した。
穢れとは不吉な死の予兆だけではなく、人の心の多様性の混沌とした力そのものといえる。
ヒルコの神は、イザナギとイザナギのまぐわいによって生まれたとされている。
アマテラス、ツクヨミ、スサノオはイザナギが禊をして生まれたという伝承だけではなく、イザナギが明確な意志を持って生みだした神々という伝承も残されている。
左手に白銅鏡を持ったら大日霊貴尊(おおひるめのみこと)、右手に白銅鏡を持ったら月弓尊(つくゆみのみこと)、頸をぐるりと廻らせて顧みたら素盞嗚尊(すさのおのみこと)が生まれたという伝承である。
黄泉の国から出るまでは、振り向いてはいけないとイザナミに言われたが、イザナギは途中で後ろをついてくるイザナミを見ようと振り向いてしまう。
スサノオノミコトが生み出された時の、頸をぐるりと廻らせて顧みた動きは、まさに振り向くという動きと同じ。
右手と左手に鏡を持ちながら、あえて振り向くことで、異界のものに対峙する男神を生み出した。見るだけなら、振り向く必要がない。鏡を背後へ向けて鏡ごしに見ればいい。
異界の力を察知する女神たちと、異界の力に対峙する男神を、明確な意志と父性を持ってイザナギは生み出している。
蛆たかれころろき、頭には大雷居り、胸には火雷居り、腹には黒雷居り、陰には折雷、左の手には若雷居り、右の手には土雷居り、左の足には鳴雷居り、右の足には伏雷居り、并せて八柱の雷神成り居りき。
これがイザナギが見た黄泉の国のイザナミの姿である。腐敗した女神。そして雷神を身につけ、妻との約束の誓いを破った夫に激怒している。
八柱の雷神とヤマタノオロチ(八岐大蛇、八俣遠呂智、八俣遠呂知)。
異界のものであることを、同じ数の一致によってあらわしている。
イザナミは手下の黄泉醜女(よもつしこめ)に逃げ出したイザナギを追わせた。

生前のイザナミと死後のイザナミは、見た目のちがいもそうだが、共食の儀式をすでに終えて、黄泉の国の者に成り果てた。黄泉の食物を口にすることを共食の儀式という。
イザナギは自分の命が黄泉に取り込まれるだけでなく、生者の世界の滅亡の危機を危惧した
イザナミを連れ帰るのは諦め、生者の世界を護るために生者の世界と死者の世界の境界である黄泉平坂(よもつひらさか)まで逃げ切ったので、イザナギは、巨大な千引岩でふさぐことで生者の世界と死者の世界を完全に融合するのを阻止した。

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