華散 4
【side:華凛】
姉はいつもより1時間ほど遅い帰宅だった。
「おかえり」
「ただいま」
「今日は遅かったんだね」
「いろいろあるのよ。それより、お風呂、沸いてる?」
「うん、私もちょっと早めに入ったから」
「ありがと。晩御飯はお風呂出てからでいいかな?」
「うん、待ってるよ」
そう言って姉は浴室に駆け込んでいった。
少し、不思議に感じた。
軽くシャワーを浴びるだけかと思ったら、時間をかけて身体を洗い流していたようだった。
姉さんのお仕事、そんなに汗をかくようなものだったかな?時期的にも暑くはないし。
でも、私がなんか詮索することでもないだろう、と、その時は思った。
姉さんがお風呂から出て、3人で夕食の準備をして、一緒に食べる。
私たちの、いつもの日常。
ただ、昼にあったことを考えたら、何かが違うような気もした。
……深夜
私たち姉妹はほぼ同じ時間に眠りについた。
部屋は別々だけど、姉妹だからか似たような生活リズムは実家暮らしの頃から変わらない。
なんだか長い一日が終わる…
真夜中に目が覚めた。
時計を見ると午前1時。
トイレに行って部屋に戻る……その際に姉の部屋の前を通る。
「あん…んんっ、んっ」
真夜中、オナニーに興じる姉。
初めて聞く、姉の喘ぎ声。
………私だって夜中にオナニーすることはある。
もしかしたら姉や妹に聞かれているかもしれない。
もちろん妹だってしてるかも知れない。
それを知っていて、あえて言わないのだろう…そう思って私は心の中にしまっておいた。
翌朝、姉は起きるのが遅かった。
仕事は休みだと聞いていたが。
「恋姉、よく寝たね〜」
昨夜のことを知らないだろう、妹がのんきに言う。
そんな妹もさっき起きたばかりで今私が作った朝食を食べている。
「ちょっと昨日は仕事が忙しくてね」
「帰りも遅かったしね」
ようやく起きたといってもまだ眠そうだ。お休みの日ならゆっくりしててほしいもの。