婦警さんが悪に負ける訳がない 23
「…Bang!!」
真由美の唇が、勝利を確信しきった秋元に向かってささやいた。
「ッ!?・・・なんだ、その銃が実は3Dプリンターで作成された密造銃だとか、そんなオチかね?・・・そりゃ傑作だよ?」
とっさに思い付いた展開に、さらに高笑いしてしまう秋元。
もちろん、銃自体は本当にただのオモチャだった。
だが。
秋元は忘れていた。
『ぶっしゃァァァァアアああアアッ!!』
不意に、秋元の顔面に噴射されたものがあった。
「うわっぷ、ぺッ、ぺっ・・・」
紫色の噴水が、秋元の口元を直撃していた。
それは、真由美の肛門から発射された、秋元のザーメンと、例の座薬とが溶け合った液体なのだった。
「???・・・な、なんの真似を・・・ペッ、ぺっ」
飲み込んでしまった液体を吐き出そうとする秋元だったが、もう遅かった。
みるみるうちに、秋元の粗末なモノが赤黒く変色し、子供の手首ほどに膨張してゆく。
「・・・な、なんだ・・・なんだよコリャ」
そう言い終わらぬうちに、激しい勢いで大量の射精を開始する秋元自身…。
「うひっ・・・キヒッ・・・ガヘヒッ・・・・・・と、止まらん・・・止まらないヒイィィッ!!」
秋元の身体を、秋元自身の白濁液が塗りつぶしてゆく。
大昔の中国人貴族が作り出したという媚薬。
女性向けに処方された青紫色のそれを、秋元は飲んでしまったのだ。
間違えて服用すると狂い死にするという伝説を持つ薬物を。
「げひ、ぐひっ・・・たしゅけて・・・誰か止めてェェェェええええッ!!!」
白目を向いて、全身を急速に干からびさせながら痙攣と射精を繰り返す秋元の絶叫が、この廃工場にこだましていった。
断末魔の叫び声に、近づいてくるパトカーのサイレンの音がかぶさってゆく…。
事件は終わったのだ。
由利らとともに救急隊員に運び出されながら、真由美は意識を失っていた。
「婦警さんが悪に負ける訳がない」End
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追加報告
即効性を高めた新薬のデータ収集は完了しました。
特に幻覚催眠効果は目を見張るものがあり、これであればクライアントの要求に十二分に応えられましょう。
これを投与された自衛隊員たちは、個人の思想を飛び越えてひたすら国に尽くす愛国者となること請け合いです。
例の件で支持率も落ちています。おそらく二つ返事なのではないでしょうか。
参考資料として、検体の催眠効果の記録映像を添付いたします。
撮影者は死亡したそうですが、その死体も貴重なサンプルとさせていただきます。
ああ、映像の中の女性は顔をモザイク処理してありませんが、どうかお気になさらず動画をお楽しみください。
いい女でしょう?
死んだ撮影者も幸せだったでしょうね。
では、ご商談のご成功をお祈りいたします。
月野
(その夜何処からか送信されたメールより)