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イジメがえし
官能リレー小説 - レイプ

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イジメがえし 2

僕も、そして彼女も、少し考えればわかることだった。
僕が彼女に虐められていたのは小学生のときである。そのくらいなら女子のほうが体格があることも珍しくない。
しかしもう僕らは高校生。そして僕は男で、彼女は女なのだ。
あの頃と同じなはずがないのである。
「……へえ。クズのくせに身体だけは一丁前に育ったのね。独活の大木ってやつかしら」
彼女はあくまで優越な位置を外れずに言った。でも若干声が震えているのは明らかだ。
そうだ。鬼熊龍魅なんて、ただの高校生の女の子なんだ。
なにをそんなに怯えていたのか、自分で自分がおかしくて笑いが零れてしまう。
それがカンに障ったらしく、彼女がいきなり僕のお腹にパンチをいれた。
「なに笑ってんのよドレイの分際で!」
話にならないくらいに効いていない。僕は格闘技をやっているわけではないのでいくらなんでもノーダメージではいられないはずだから、多分鬼熊龍魅が人並み以下の筋力しか持ってないのだ。
本当になにをあんなに恐がっていたんだろう。
心の片隅にずっと巣くっていた小学生の頃の鬼熊龍魅の画が氷のように溶けてなくなり、目の前のひ弱い彼女の姿に変わる。
「いいかい。鬼熊さん」
僕はなるべく恐く聞こえるように低い声で言った。他人を脅かしたことなんてないからうまくいくかわからなかったが、ひるんだ彼女の反応を見る限り、どうやらうまくいったらしい。
「僕はもう君の奴隷じゃないんだ。僕に構わないでほしい」
「な……っ!」
彼女はすぐになにか言い返そうとしたが、言葉にできなかったようでただ絶句していた。
僕は、あの鬼熊龍魅にやっと勝てたのだ。
勝利のヨインに体を震わせて、僕は彼女に背を向けた。もう話すことはない。
しかし彼女のほうはそれでは気が収まらなかったようだ。僕が立ち去ろうとすると、その背中にありたけの罵声を浴びせ始めた。
「ま、待ちなさいよこのクズ! 泣き虫のくせにこの私に逆らうんじゃないわよ! 止まりなさいって言ってんのよこの包茎男!」
その最後の言葉が、僕の感情を逆なでした。
頭にきた。小学生の僕にあんなことをしておいて、こいつは全く悪いとも思っていない。それどころかいま僕に会うまで、これからも同じようなことをしてやろうと思っていたのだ。
――許せない。
僕が足を止めたことを誤解したらしく、鬼熊龍魅はフンと一つ鼻で笑うと、相変わらずの上様口調で言った。
「そ、それでいいのよ。アンタは私のドレイなんだからね。いちいち逆らうんじゃ……。っ!?」
振り返るなり僕は龍魅の髪を掴んだ。
出会い頭に僕の髪の毛を掴んで引っ張る。当時の龍魅の常套手段だった。
「なっ! やっ! 離して! 痛い!」
「うるさい」
さっき溶けた小学生の龍魅の画が再構築されて、それが目の前の龍魅と重なる。
なにか気に入らないことがあるたびに理不尽に僕の頬に平手打ちを連発してくれたその龍魅に、今度は僕が思い切りビンタを喰らわせた。
龍魅がその場に崩れ落ちた。衝撃で放心したように視線を浮かせて、眼には涙が浮かんでいる。
それは、昔の僕そのものだった。
「なに、するのよ……」
たった一発で声すら弱々しいものになった。
龍魅も気づいていたはずの歴然とした体格差は、やっぱり僕らの立場をひっくり返すには充分すぎた。
「君にはいろいろしてもらったからね。お返しをしなくちゃ」
これは彼女の罪に対する罰だ。被害者である僕には、その執行の権利がある。
「ふざけないで! アンタなんか、アンタなんかね!」
喚く龍魅を遮ってもう一発ビンタをお見舞いする。生まれてからこれまで殴られたことなんて一度もないのだろう、それだけで彼女に与えるショックは絶大だ。
「殴られる人の気持ちがわかったかい?」
二発目のビンタは、気丈な龍魅のそれもついに折ったらしい。赤くなった頬を抑えて、彼女は肩を震わせて押し黙ってしまった。
しかしそこで、僕ははたと困った。
罰と言っても、なにをすればいい?
流石に校内で紛いなりにも女の子を傷だらけになるまで殴るわけにはいかない。金を奪うにしても、今持ってる現金くらいはお嬢様の彼女には大して痛くない損失だろうし、第一僕は別に慰謝料が欲しいわけじゃない。かと言ってこのままビンタ二発で終わらせるのは、とても僕の腹の虫が収まらない。
そこで僕の脳裏に蘇ったのは、あのイジメだった。小学生の僕が鬼熊龍魅にさせられた中でも、一番屈辱的だったあの行為。
「鬼熊さん」
もはやあの虚栄に満ちた雰囲気など一切霧散した龍魅は、僕の呼びかけにビクッと反応すると、小動物のような眼でこちらを見た。
「君は昔、僕にこんな酷いことをしていたんだよ」
すっかり怯えきった瞳を揺らして、龍魅はただ下唇を震わせている。ビンタがよほど怖かったらしい。
「ごめ……なさい……。叩かないで……。もう叩かないで……」
蚊の羽音のような声で繰り返す龍魅。その惨めな姿には、もうあの傍若無人ないじめっ子の面影はない。

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