初体験はお姉ちゃんそして…… 88
夜、自由研究を除く宿題がすべて片付き一息入れていると沙耶が話しかけてきた。
「ねえお兄ちゃ〜ん。舞お姉ちゃんが一番なのはわかるけど、沙耶と茜お姉ちゃんだったらどっちが好き?」
「突然何を言い出す?」
「だって〜いつも沙耶と茜お姉ちゃんと両方をどこかに連れて行ってくれるでしょ〜。」
「そうだね。」
「だから心配なの〜。」
「そう言われても……」
「じゃあ〜もしも世界中に沙耶と茜お姉ちゃんしかいなかったら〜どうする〜?」
「う〜ん……」
「えへへっ。考え込むってことは沙耶にもチャンスありだね〜。」
「そこで妥協してくれるかな?」
「今度のデート次第にする〜。」
沙耶はそういうと部屋に戻っていった。すると入れ替わりに茜が入ってきて同じ事を聞いた。
「沙耶と示し合わせて何かやってるだろ。」
「そんなことないよぉ。ってかそんな言い方無いでしょぉ。」
「本当か?」
「うん。」
「じゃあ僕が答えを出すまで出かけないことにしよう。」
「あ、ごめんなさい、お兄ちゃんごめんなさい!!!」
「やっぱりそうだったのか。」
「私が言い出したの。沙耶が『おにいちゃんは沙耶のこと好きだ』って言うから……」
「だから勝負したのか?」
「そうじゃないけど……沙耶があんまり自信あり気だからぁ……」
「ックハハハハハハハハ。」
「何で大笑いするのぉ?」
「いや、沙耶の自信はどこから来るのか、沙耶の一言で茜が心配になるのは何でかと思ってね。」
「もうっ。そんな言い方ってないでしょぉ。」
「まあまあ、今度出かけた時に分かるだろ。」
「ちゃんと教えてくれる?」
「さあどうかな?」
と、僕はかわす事にした。
「さて、そろそろ寝るか。」
茜が部屋に帰ると同時に僕は部屋の明かりを消した。
ガチャ
「ん?誰?」
僕は電気を点けようとした。しかし誰かに突き飛ばされた。
「いたたた……」
「お兄ちゃん!何で答えなかったの?茜お姉ちゃんが可哀相じゃん!!」
「沙耶?何を……」
「沙耶は〜茜お姉ちゃんのデートのために仕掛けたのよ。それをいい加減な言葉でかわすなんて〜。」
「ちょっと待て。どういうことだ?」
「なんて鈍いの〜?」
「は?」
「もう〜本当に鈍いんだから〜。」
沙耶はそう言いながら電気を点け僕のベッドに座った。
「沙耶が『おにいちゃんは沙耶のこと好きだ』って言えば〜茜お姉ちゃんは〜お兄ちゃんの気持ちを聞きに行くでしょ〜。」
「……まあ、そうだね。」
「沙耶が『チャンスあり』で退散したんだから〜茜お姉ちゃんには〜『好きだよ』って言ってあげなきゃダメだよ〜。」
「それはちょっと……」
「そしたら〜お兄ちゃんは〜『明後日だけは恋人でいよう』位の事を〜言ってあげなきゃ〜。」