初体験はお姉ちゃんそして…… 86
8月3日〜4日に茜を、8月6日〜7日に沙耶をそれぞれ泊りがけでどこかに連れて行くことになった。
「テーマパークでいいよな。」
「お兄ちゃんがエスコートしてよぉ。」
「沙耶も子供じゃないから手を抜いちゃだめだよ〜。」
「あらあら頑張ってね。」
「何でお姉ちゃんは……」
「私は受験生よ。」
「既に学校推薦取れてるのに?」
「万が一学内選考で落ちた時に困るでしょ?」
「平均4,8で負けないよ。」
「オール5がいるかもよ。」
「はいはい。」
「沙耶と茜はちゃんと宿題を終わらせておくのよ。」
「舞お姉ちゃんが連れて行ってくれるわけじゃないのに〜。」
「沙耶の言うとおりだよぉ。」
「いや、僕も同じ考えだな。」
「え〜お兄ちゃんまで〜。」
「無理にとは言わないよ。行きなくないなら。」
「負けたぁ・・・・・・」
「じゃあ二人とも『奮励努力せよ』と言ったとこかな。」
「この戦争オタク〜。」
「歴史バカぁ。」
「あらあら、ほんとの事だからって言い過ぎよ。」
「お姉ちゃんフォローになってない。」
「ふふふっ。」
その後茜の数学を見ながらレポートを片付けた。その日のうちに猛烈な勢いで茜は数学の宿題を全て片付けた。
「お兄ちゃんこれで数学は終わったよぉ。」
「茜は英語得意だし、問題はないか。」
「時々お願いするけどねぇ。」
「毎年だから良いよ。それから受験に向けても勉強するんだぞ。」
「うん。お兄ちゃんとぉ同じ高校に行ける様にがんばるぅ。」
「もうちょっとましなとこにいけた方が良いけど……」
「一緒に登校するぅ。」
「吹奏楽部は朝連ないぞ。」
「じゃあ私も朝連無い部活に行くぅ。」
「せっかくテニスで選抜チームにいるのに?」
「学校の中の選抜だしぃまだ予選の段階だしぃ……」
「その辺はゆっくり考えればいいか。」
「それにこの予選が引退試合なんだよぉ。だから勝っても大会は出れないのぉ。」
「そうか……。」
そうだ。三年生はすでに引退の時期だ。これはまずいことを言ったかもしれない。
「でも気にしないで良いよぉ。」
茜は僕の心を見透かしたように笑顔で言った。
「え〜と『5月29日、ついにロンメル元帥自らイギリス軍の地雷原と防衛線を突破した。』っと……」
「お兄ちゃん。宿題教えてぇ。」
「ここを書き終わるまで待て。」
「お部屋にいるねぇ。」
「『ロンメルのアフリカ軍団はエル・アラメインまで進撃した。』っと。さて、茜の宿題を見るかな。」
コンコン
「入るぞ。」
「はぁ〜い。」
「あれ?沙耶?」
「茜お姉ちゃんと一緒に勉強してるの。」
「ふ〜ん。で、分からないのは?」