「それお兄ちゃんに口移むぐう・・・・・・」
僕は大慌てで茜の口を押さえ言った。
「あー、茜と僕は昼それだったんだ。」
「何あせってんの？なんか分かるような気がするけど。茜は・・・ミックスサンドセット。サイドメニューは目玉焼きかな。スープはコンソメが良いんじゃない？」
「僕は？」
「う〜んアンタは少食だから一品料理が良いわね。」
「じゃあこのプレーンオムレツで良いんじゃない？」
「沙耶も茜お姉ちゃんの言うとおりだと思う。」
「だ、そうよ」
ウエイトレスさんを呼んでその通り注文した。

「お待たせしました。」
「あーおいしそー。」
茜がやけにはしゃいでいる。何かの拍子にさっきの事を言うのではないかと、僕は気が気でなかった。さらに
「ね〜お兄ちゃんは茜お姉ちゃんとどこ言ってきたのぉ〜。楽しかったぁ〜？沙耶にお話ししてぇ〜。」
僕はかなり焦った。そこで茜が何か言い出す前に
「茜との秘密ってことにしとこう。あさっての沙耶とのデートも沙耶との秘密にしよう。」
と、かわした。
「ふふふ」
お姉ちゃんは全てを察したように笑っていた。

僕は充分満足した。
「あ〜美味しかった。」
「お兄ちゃんもういいのぉ〜？沙耶まだ足りないよ。」
「じゃあデザート食べよっか。茜も食べるでしょ。」
「うんっ。」
「生ハムメロンなんてどう？沙耶食べられるかな？」
「大丈夫だよ。茜おねえちゃんも大丈夫でしょ？」
「もちろん。」
「ウエイトレスさん。生ハムメロン４つ」
「え？僕も？」
「アンタもっと食べないとその内妹たちのおもちゃになっちゃうわよ。今はまだ甘えられてるだけで済んでるけど。ねぇ茜。」
「もうなってるような・・・」
「私に振ったのにぃお兄ちゃんが答えちゃったぁ。」
「あ、ごめん。」
「生ハムメロンになりま〜す。」
「あ〜来た来た。沙耶これ初めて。別々に食べたことはあるけど。」
「ねえ今の変だと思わなかった？」
「何がぁ？むぐむぐ。沙耶〜なんか変だったぁ？」
「え〜わかんなーい。舞お姉ちゃん分かる？」
「生ハムメロンに『なります』でしょ？」
「そう。『なります』ってことはまだそうじゃないみたいじゃないか？」
「あんたは理屈っぽいんだから。そんな事言ってないでさっさと食べなさい。冷たい方が美味しいわよ。」

「美味しかったね〜。沙耶また行きたーい。」
「沙耶は違う高校行くんでしょ。私は来年から時々来ようっと。」
「舞お姉ちゃんまた連れてってよ。」
「そうね。」
「僕はもう充分・・・・・・食べ過ぎた。」
「もっと食べないとダメよ。」
「お昼はお兄ちゃん食べれたよ。流し込んだだけだけど。」
「流し込んだ？ハッシュ・ド・ビーフを？沙耶どういうことかな？」
「沙耶もわかんない。」
「追求しないで。」
僕はこれ以上茜が余計な事を言わないか冷や冷やした。