初体験はお姉ちゃんそして…… 144
プーパパララ〜ピポパ〜パ、パ〜
「レガートに注意して〜。」
タタタタァラッタタ パパパプ〜パパパ
「『ドレミの歌です』アタックとレガートを上手く組み合わせてください!」
タタタタタタタタ ダンダン!
「ここから『御転婆マリア』を意識して〜」
タラララッタタラララッタタ〜ラ〜
タラララッタタラララッタラ〜
「そのまま突っ込んでいきましょう!」
ジャーンジャーンジャジャンジャーン!
「『全ての山に登ろう』です。大きく歌い上げましょう。」
ジャジャジャジャジャン ジャン ジャァ〜ン!!
「は〜い。OKです。」
「お疲れ。一曲振り終ったらもう汗が出てるわね。」
「今日は本番さながら力を入れてみました。」
「なるほど。道理で。」
僕は金管楽器の低音が集まっているところに行った。
「楽器片づけながらで良いので聞いてください。」
「如何したの?」
「『エーデルワイス』から『私のお気に入り』への移行の所なんですけど……」
「うん。」
「『エーデルワイス』の速さのまま『私のお気に入り』に入ると引きずるのでちょっと意識してみてください。」
「了解。」
今度はドラムスの所に行った。
「練習番号Cの辺りからちょっと走る感じがしますので気をつけてみてください。」
「指揮者がそんなんで如何するの?」
「ドラムが走ると全体がつられますから。」
「そう。分かった。」
「後は木管だけど……これは練習状況を見てにしよう。」
「お兄ちゃん片付いたよ〜。帰ろ〜。」
「全く……周りに気を使わなきゃ。いつも先に帰っちゃ悪いだろ?」
「そうだけど……」
「そうだ。ちょっと手伝ってほしいことがあるんだ。」
「何〜?」
「この紙に並び方と名前を入れるんだけど、中学生の正式な名前が分からないから……」
「沙耶が〜分かる所入れていけばいいんだね〜。」
「こっちに楽器の配置表があるからそれと照らし合わせてあいてる所に名前入れていけば……」
「お先に失礼するわよ。」
「あ部長、お疲れ様です。」
「まだ帰らないの?」
「あ、施錠しておきます。」
「そう。じゃあお願いね。」
「これで良いかな〜?」
「ええと……これはなんて読むんだ?」
「園田優輝ちゃんね〜。ソ・ノ・ダ・ユ・ウ・キだよ〜。」
「了解。」