愛娘 26
余裕の無い私に対して、碧はこのセックスを楽しんでいた。
夫婦だった時も愛し合うセックスはしてきたつもりだが、彼女が楽しんでいたかは否だろう。
だが、今の彼女はセックスを楽しんでいた。
「駄目だっ!も、もうっ、出るっ!!」
「いいわっ!出してっ!たっぷりっ!出してぇっ!!」
余裕の無い私は限界だった。
私が襲ったように見えて、そう誘われたのだろう・・・
私が腰を振ったのも、振らされたのだろう・・・
そして、射精したのでは無く吸い取られた・・・
これまでの人生で最も気持ち良く、最も惨めな射精を私は碧の膣で放出したのだった。
逆恨みであれ、奴が私に敗北感や絶望感を味合わせたいと言う目的は達せられた。
私を憐れみの微笑みで見る碧もこうなる事は分かっていたのだろう。
彼女を拒絶すれば、こんな思いはしなかった。
だが、私は・・・
それが正しいのか分からないが、彼女を受け入れる事を選択してしまったのだ。
「今なら引き返せるのよ」
残酷な程優しい笑みで碧がそう言う。
ここから先は底なし沼だと言うのは自分でも分かっている。
だが、私が受け入れないと彼女達は・・・
そんな思考も働くが、一番は私はまだ碧が好きな気持ちを断ち切れていなかった。
いや、今の碧に虜にされてしまったんだろう。
「お前を・・・離したくない・・・」
「仕方ない人ね・・・」
ため息混じりに碧が私の頬を撫でる。
そして、残酷で無慈悲で心引き込まれる笑みを私に見せたのだった。
次の日。
私と蒼空の住まいに碧が一人で来た。
蒼空が拒絶してもおかしくはないと思っていたが、碧の顔を見るなり、目に涙を溜めて抱きついた。
「ママッ!ママァッ!!」
「久しぶりよね、蒼ちゃん」
どこまで行っても母と娘は母と娘なのだろう。
離婚騒動も四年の月日も全く関係は無かった。
「パパに愛されて、これだけ綺麗になったのね」
そう言って娘を抱きしめる碧。
私は話していないが、全て知ってる顔だった。
「ママ・・・怒らない?」
「とてもいい事よ・・・ママがもっとパパに愛されるように教えてあげるわ」
碧の言葉に背筋に冷たい汗が流れながらも、股間が熱くなっていくのを感じてしまっていた。
「璃空姉ぇは…」
蒼空がボソッと言った言葉にも私はドキドキと冷や汗が止まらなかったが、碧はいたって平然と、笑顔のまま蒼空に告げた。
「もう少し時間がかかるけど、必ず戻ってくるわ」
こうして、我が家に家族の時間が戻りつつあった。
そして、碧が帰ってきて数日・・・
そこには拍子抜けするぐらい普通の暮らしがあった。
私と蒼空はここ数日セックスをしていない。
無論、蒼空が裸でうろつく事も無ければ、碧も同じだ。
碧はかつてそうであったように、清楚で家庭的な母親の姿しか見せていない。
露出のある服も派手な服も着ていない・・・
かつての碧そのものだった。
違いは、見惚れる程綺麗になった事だろうか。
蒼空との仲もいい。
いつも他愛の無い会話で盛り上がってるし、毎日一緒に寝てるようだ。
なので私は一人寂しい夜を過ごしているが、母と娘の空白を埋める行為を邪魔したくはない。
彼女達が別々になるのは、蒼空が学校に行った時ぐらい・・・
その時は在宅仕事の私と碧だけになるのだが、その間碧から迫ってくる事も無かった。
むしろお茶やコーヒーを用意してくれたり、食事の準備をしてくれたりと仕事のサポートに徹してくれている。
こんな風に予期しなかった普通の生活は拍子抜けするぐらい退屈だが、心安らぐ幸せな環境だった。
そんなある日、仕事を午前中で終えた私。
蒼空の帰りは夕方以降になるその日。
リビングで碧の淹れて貰ったコーヒーを飲みながら寛いでいた。
隣に碧が座る。
「昔は・・・こんな日常だったんだろうか・・・」
私の呟きに碧が微笑む。
その微笑みは彼女が帰ってきて初めて見せる淫蕩な笑みにドキリとした。
「昔は戻ってこないのよ」
その声にゾクゾクする。
そして、碧がスマホを取り出し、私に動画を見せた。
『んひいぃぃぃっっっ!』
絡み合う碧と蒼空。
いや、一方的に蒼空がヤラれていた。
指と舌と玩具だけで、蒼空が白目剥くぐらいイッていた。
「こ・・・これは・・・」
碧の微笑みは残酷で優しい。
「あなたが蒼ちゃんに本当の快楽を教えて上げてないものだから・・・駄目よ、ちゃんと教えて上げないと私みたいになっちゃうわ」
彼女の言葉に背筋が寒くなるのと同時に股間が熱くなっていく。
「そろそろあなたも溜まってきた頃じゃないかしら?」
股間を撫でてくる碧。
清楚で家庭的な顔が淫魔のように変貌していく。
それだけで射精しそうなぐらいだった。