未成年婚姻法 29
実里の質問に、
「甲介や勇希とは班どころか、学級が別々だったわ。」
「そ、そうでしたか。」
「それよりも実里ちゃん、唐揚げとか結構美味しいよ。」
「甲介、少し食べ過ぎよ。この調子だとまた太らないか心配になってきたわ。」
食事が済んで暇を持て余していると甲介が未希に、
「シャワーでも浴びるか。」
「バンガローのシャワー室は狭いから誰から入るか順番・・・」
すると未希の手を握って、
「シャワーなら向こうの小屋にもあるから、そっちに行こう。」
甲介と未希がシャワーが設置されている小屋へ向かうと、
「思ったより広い・・・いきなり触らないでよ。」
「しっかり濡れている。未希もだいぶ我慢していた証拠だな。」
「こ、甲介・・・」
一方、部屋に残った勇希達は、
「実里、やけに積極的だな。」
「甲介さんが気を利かせてくれたのに、ただシャワーを浴びるだけじゃつまらないでしょ。」
「でも、実里はまだ中学生だから避妊をちゃんとやるぞ。」
“やっぱり、勇希さん、結婚してくれる気、ないのかな”
確かに、今までも勇希はコンドームを欠かさず使っていた。中学生でも妊娠して結婚している人が少なくない昨今、実里は、それは自分のことを大事にしてくれていると解釈していた。
しかし、これからは、妊娠しない限り結婚は18歳以上まで持ち越されるのだ。
“中学生だから、って、じゃあ、高校生になったらいいのかな…その時は、妊娠があたりまえじゃない空気になっちゃうのかな…”
物心ついたときから中高生で結婚することがあたりまえと考え、すでにパートナーがいると思っている実里にとって「18歳以上まで持ち越し」は暗澹たる気持ちにさせる宣言だった。
勇希は落ち込んでいる実里を強く抱き締め、
「今まで冷たくしてきたと思っているかもしれないけど・・・」
「ゆ、勇希さん。」
「実里が好きだから、大切だと思っているから、安易に妊娠させたくないんだ。」
すると勇希は甲介達の通う中学に転校する前日の事を話し出し、
「母さんがそんな事を・・・」
実里の母としては勇希の事は小さい頃から知っているとはいえ、
結婚するとなると娘が自分と同じ不幸に遭ってしまわないかと心配だったようなのだが、
「僕の事を信頼しているからこそ、少しきつい言い方をしたと思う。」
一方、甲介と未希は、
「奥までを入れたら・・・」
「孕ませって頼んだのは未希だろ。」