職業寝取り屋 3
数時間後、ホテルを後にした二人はキスをして別れを告げ、健吾は寝取り代の報酬を受け取った。
一見すればヒモにしか見えないが、健吾のそれは商売として成り立っているし、健吾自体愛情というモノは女に対して持ち合わせてはいない、そもそもそんなものを持っていたら、いや、持った時こそ、健吾は寝取り屋として築いた全てを失うのだろう…少なくとも本人はそう考えている。
「ひいふうみい…よしよし、お得意様はなかなか悪くないな…」
報酬を数える健吾の姿は一見すれば気楽な商売だが、なかなか健吾もこれで苦労はたえない。
確実に相手を満足させなくてはいけないし、何より相手は女…考え方の全く違う生き物だ、SMの主人、と言えば聞こえはイイが、それはすなわちマゾを満足させるための奉仕を司るもの…しゃべり方やスイッチの入った相手を見極めるのはおろか、性欲だって常に保たなければいけないし、何より体力的にもセックスというのはかなりきついものがある…いつだったか、女性向けに作られた風俗は店員の体力が持たずに閉店を余儀なくされたそうだ…現実にマジカルチンポはない、
健吾自体仕事は苦ではない分、いつまでこの仕事を続けられるか…そんな不安を頭がよぎる日もあった。
「また連絡か…」
そんな中健吾のケータイにメールが届く、相手はお得意様の主婦、幸江からだった。
「さて、またたっぷり寝取りますかね」
主婦達は無口だ、いつも健吾はそう考えていた。
まるであふれ出しそうな欲望を言葉…文章に書き表せず、不満を言わず、女としての魅力を隠し持ちながらも…古い言葉で言うならば、カマトトをぶち、自身を何か高尚な物と思い込み、性欲を明かさない。
だからこそ攻略しがいもあるんだけどな…健吾はそう考えてニヤリと笑い、幸江の住む住宅街に向かった。
木村幸江…年齢は37歳、小学生の子供が二人、典型的な専業主婦だが、いわゆる小金持ちの夫人というやつだ。
「こんにちは、寝取り屋です…幸江さんはいらっしゃいますか?」
インターホンに囁きかけると同時に、オートロック式のドアががちゃりと開く、無言の合図だ。
そのまま健吾は歩を進め、室内に入ることにした。
扉を開けたその時…健吾は押し倒されんばかりに無理やり唇を奪われ、熱烈なキスをされてしまう。
「んむっ…んんっ!な、い、いきなりっ…んんっ〜!?」
「んじゅるるっ♪んむっ…っふぅ♪んじゅるるんっ♪待ってたわぁ、マイダーリンっ、早く抱かれたくてぇ、貴女のこと、ここもすごく寂しくて涙を流してたのよぉ?」
幸江…端から見れば余りさえない、大人しそうなメガネが特徴的な夫人は裸エプロン姿に熱烈なキスで健吾を迎え入れ、そのまま手をつかみ、股間に押し当て…ぐちょぐちょに濡れたオマンコを触らせては、ふうふうと呼吸も荒く健吾の手を握り替えし、そのまま胸板に顔を押し当ててきた。
「わ、わかったから…まず中に入りましょう?奥さん…いくら何でも玄関じゃっ…」
「構わないわぁ?ダーリンのためですもの…ふふ、たっぷりザーメンはため込んでくれたかしら?ほら…好きなだけハメハメしましょう?オマンコも貴女を欲しがっているわぁ?」
まるで目にはハートマークを浮かべたかのように貪欲に健吾を求める幸江は、そのまま恥も外聞もない姿…尻を突き出した状態で腰をふりふりと動かし、崩れ始めた肉体でチンポが欲しいと言わんばかりにアプローチを始めていた。
本来ドSと言う言葉はけして相手を蔑みたいから使うものではない、あくまで奉仕をMに行い、時には暴走し過激な行為を求めるMを落ち着かせるためにリードすることも必要となる…SMにはそんな暗黙のルールが存在している。
幸江の場合は藍と違い、暴走しやすいタチだった…健吾はそう振り返っていた。
初めて抱きしめられたあの日から健吾の姿が忘れられず、また自身に内緒で愛人を囲う夫に対する復讐…はじめのうちは幸江もそう考えて、健吾の差し出す魅力にあがらえず、身体を差し出した…とは本人談だ。