幼妻のアブない日常 96
「そんな顔しないでください…僕は貴女をレイプする役なんですよ;」
照れたように頭をかく真嶋ユウ…そんな顔しても爽やかな青年だ…
「だって真嶋さん、爽やか過ぎてとてもそんなことするような男には見えません…」
「やっぱりそう思いますよね;…そのイメージを払拭させたくて、この役受けたんですけどね;…」
見た目は野獣、肉食系のイケメンだけど言葉遣いはいいし礼儀正しい。
お父様も偉大な役者なだけに葛藤もあっただろう。
ただ胸やお尻でアピールしてきただけの私とは全く違うんだ。
「あの、監督から話聞きました?」
「はい、実際にヤるっていう…冗談だと思ってましたよ…」
互いに脚本や演出に口出しできる立場じゃない。
「昔はね、なんでもガチだったそうだ。リアリティの追求ってね。あの監督はCGとか大嫌いなタイプだし」
「普通はアクションシーンで語るポリシーじゃ…」
「普段は気をつけてるんですよね。今回のシーンは世の女性への教訓のメッセージもあります。歩きスマホで露出度の高い服にかかとの高い靴、無防備は良くないって意味でも」
確かに衣装さんからは襲われやすい衣装を渡されてる。ブラもずり上がりやすいようにワイヤーが抜いてあるし、そもそも今回で使い捨ての覚悟だ。
倒れる際も痣ができないように注意する必要もあるけど、抵抗の演技の時も手を振り回して爪や指輪とかで彼を傷つけないようにしなくてはならない。
「まあ僕は監督に従うつもりですけど、それでよかったですか?…」
私みたいな者にまで気を使ってくれる真嶋ユウに、なんだか恐縮してしまう…
「もちろんそれで構いません…私演技なんて出来ないから、返ってその方がいいかもしれませんし…」
皆の前での本番には抵抗あるけど、ここまで来たらもう逃げることなんて出来ない…
「よかったです…実は僕、監督に言われてここ何日も抜いて無いんですよね;…」
…なんかこれからAVを撮影するみたいなやり取りになっている。
勘違いするな、今からやるのは地上波ゴールデンタイムのドラマなんだぞ、私。
まあ、私の方も監督に気遣ってもらっていわゆる『大丈夫な日』に撮影日程を組んでもらったのだ。
それこそ何らかのアクシデントでも起こって彼の子を孕んでしまったら大変だし。
「真嶋さん、巽さん、撮影入りますよー」
スタッフさんから声がかかる。