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若妻遊戯
官能リレー小説 - 若奥さん

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若妻遊戯 39

「レオ君が私を要らないって言わないかぎり、割りきった関係よ。レオ君に彼女が出来て、彼女が嫌って言ったら…おとなしく引き下がるわ。私は年増だしセフレだから」
「そんな、彼女だなんて…麻衣子さんがいるだけで」

麻衣子にしてみればリサがグラビア業界で勢力を拡大したり、秩序を乱さなければよかったし、後輩や事務所の息がかかった人間を使ったわけではないので、間違ってもリサを陥れようとする卑劣な人間とは露見しない。
レオも多少疎遠でも麻衣子との絆は守りたかった。互いに体目当てであっても、若くて何も持たない身でも力になりたいと思っていたので、悪質なファンを演じるぐらい躊躇するほどのことでもなかった。
変装や帰りのルートなど使い捨てのヒットマンでなくきちんと配慮もあったし、何より信じて任されるという立ち位置が男として求められている証明のようで嬉しかった。
愛美は翔が太一をシメた事は記憶していても、彼女の中では太一はそんなに悪い人間とは思えず、ファンにすれば必ず役に立つと考えていた。
両者を同席させないことで翔の女並みの嫉妬や凶行を防ぎ、太一も卑劣な方法を取らずに愛美の覚えを良くする機会が得れたので、懸命に動いた。
リサを最もよく知る藍は、リサとその所属事務所の野心があの程度のダメージで諦めないと警告した。
活動をしばらく自粛しただけで引退ではないし、仕事が無いからこそ新しいことを始める準備期間ともなる。

『実は2時間ドラマの出演が決まったの』
「それは、おめでとう」

ある日、静香から急に連絡が入る。麻衣子は静香がグラビアからAVに転落した訳でないと知っており、歩んできた人生が違うだけで関係は極めて良好だった。
ハーフや二世というだけでいい仕事を取っているタレント違い、自らの肉体と美貌だけでのし上がってきた二人は不思議と馬が合う。

『湯けむり系だから、胸を出すチョイ役なの。女子大生だかOLの』
「確か三人くらいでしょ。きっと貴方が一番よ」

麻衣子もあの手の番組でお色気要員なのは知っていたが、2時間飽きずに見続ける為のスパイスであるし、男性視聴者の獲得という重要性も理解している。
制作側もイヤイヤ胸を見せるより、肌を晒すのに慣れていてしかも見栄えのするバストを持つ人選になるのは当然であり、無駄なキャリアでないと自覚を持っていた。

『あくまで日の当たる世界で生きるのに必要なキャリアだから、覚悟はしてるの。戦隊物の女幹部だってやるし』
「いつか共演しましょ」
『共演といえば、前に潰したいって言ってた窪川リサも出るの。あっちは胸の谷間までなのは元アイドルだし…いいとしても、AV出身だからってあの態度はね…』

リサが男には媚びても同性には容赦無い部分があり、静香を露骨にコケにしたであろう事は麻衣子にも予想できた。
麻衣子ですら、年だけは食っている女優や女性ファンしかいない歌劇団出身の女優に裸で商売してると小馬鹿にされたことがあった。

自らの身体に自信があるからこそやっていける仕事であり、麻衣子の誇りでもある。
演技力や歌唱力でのし上がってきた彼女たちとは住んでる世界も違うしアピールするところも違う。それなのに批判されるのは気に食わない部分もあるが、それもこの世界では仕方ないと割り切ってきた。

『そうだ、以前話した梨穂子ちゃんだけどね』
「うん?」
リサそっくりのAV女優、『川久保リナ』こと並木梨穂子は女優を引退した直後に結婚した、と静香が明かしてくれた。

「そう…おめでたいわね」

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