小学校教師の目覚め 2
「何だ?」
首を傾げて今の衝撃を抑え職員室へ向かう。
―職員室―
「野沢先生、クラスの感じはどうですか?」
自分の机に座り、名簿を見ながらさっきの出来事を考えていると、ふわっといい香りと当時に綺麗な巻き髪が頬に触れた。
「渡部先生…。」
うちの学校のマドンナだろう。くりっとした目に薄い唇、ピンクの前開きのニットから覗く豊満な胸、綺麗に巻かれた髪が更にその魅力を引き立たせる。
「どうかしました?」
「あぁ…いえ。ちょっと…ね。」
ふぅ〜っと深いため息をつく。
「何かあったら話してくださいね。私でよければ力になりますから」
「あ…ありがとうございます」
この気さくさが渡部美和の魅力なのだろう。生徒から慕われているのもよくわかる。とはいっても先ほどの事態をいきなり相談するというのも・・・。
とりあえず今回は自分で解決してみよう。できなかったときは・・・頼ってみるとするか。
決心をして、武藤を放課後の教室に呼び出した。
さすがに誤解される危険もあるが、それこそ他の人を呼ぶことなど出来ない。
「武藤、良く来てくれたな」
「はい、先生。……すいません、変なことを聞いて」
アレからまた頭を冷やしたのだろう。自分の発言を恥じているのか、顔が赤らんでいる。その表情を見て、僕の中でとくんと何かが蠢く。
(アレ? 何を話すつもりで来たんだっけ?)
あらかじめシミュレートもして来ていたのだが、正体不明の感情が僕の中で渦巻き、真っ当に言葉が出てこない。