義姪奴隷姉妹 2
それと並行してタワーマンションからの引っ越し準備、あれは二番目の夫から分捕ったからなぁ……願わくは元夫二人が故意に殺害を目論んでない事を祈るしかない。
タワーマンションにより私物を持ち出した後、実家に到着した彩と緑は御遺体になった母親と対面し事故目撃者のトラックドライバーの方も弔問に訪れていた。割り込みされたので自身が持つ動画チャンネルでも公開する気であったが死亡事故になり記録媒体も警察に提出したと言う。SNSで呼びかけた結果事故前に対向車線を走っていた同業者のトラックのドラレコが記録しておりこれも警察に……。
「……自分が駆けつけた時には車体が変形してまして」
「気になさらず、義姉との最後の別れが出来るのも……最後まで迷惑を」
「あの道は大型車で塞がれると追い越しするのが多いですからね、対向車と正面衝突した事故現場にもなっているんですよ」
名刺を交換しつつ祭壇を見た彼は哀れみを感じた。
娘二人の様子は遠目からも分かる、本当に対面出来る様にしてくれた恩人だ。
「えっと、旦那さんは」
「性格の不一致と言うか義姉が一方的に、一応連絡は……別れ方が最悪に近かったので、二人とも」
トラックドライバーの男性はアッと思ったが健太は気にしては無い。
「失礼」
「いえ、本当に身勝手な義姉でしたからね……株やら投資やらめり込んで」
二人は弔問客に気が付いたのか近づいて来た。
「母の最期はどうだったんですか?」
「……説明するよ、えっとそちらのお嬢さんはまだ聞かない方がいいかもしれない」
丁度緑の祖父母が来たので別室に移動する。
トラックドライバーの男性は事故現場になった箇所を以前録画した映像をノートPCで動画再生して彩に丁寧に説明する。一車線対向であるが抜け道的なポジで国道や高速道路を使わず通るトラックドライバーも多く工業団地に近い。
「母は株式をやってましたから……投資先に向かったと思います」
「株ね、オジサンは全く縁がないから知らないけどスマホとかでも見られるのかな?売値やら買値やら」
「はい、見られますよ」
健太はスマホを見せてアプリを起動させていた。
「……もしかすると通話かアプリで脇見運転をしたかな?警察もそこを調べる為に通信内容の開示を試みるかも?裁判所に令状請求してね」
確かにあり得る、俺は運転中はその様な事はしない……。
「何か心当たりあるのか?」
「時折母はスマホで怒鳴ってましたから」
彩は手が震えている、これは何かあるな……警察は株式投資のトラブルも把握している。出来ればこの方には迷惑を掛けたくはないが。
通夜の夜、健太はスマホで通話をしていた。高校時代に株を初めとする投資のイロハを教わり今でも時折訪問する老投資家、関係者は“兜町の迅”と呼んでいる爺様、多数の弟子がおり義姉の事故死を知って側近の一人が香典を持って弔問に来たので彼に後に話したいと言っていた。
「ーふむ、おぬしの義姉の事か……既に警察に話しているおるわー」
「先生」
「ーなに気にかかる事は無いわ、若い頃には何度も金融商品取引違反嫌疑を掛けられ複数ガサ入れ喰らった爺だ……警察と話す事は慣れておる。弟子の中には良くない噂が耐えない者も少なくはなく、彼女も利用された節があるー」
「!」
「ー既に何人かは動いて貰っておる、健坊……遺品の中に貸金庫の鍵やらあるかもしれん。その時は旧友に弁護士をしている者がおる、同行させるー」
「分かりました」
「ー義姉も筋が良いがのめり込み過ぎたのぉ……ー」
迅は株で狂って死亡した者を幾度を見て来ただけに言葉に重みを残した。
翌日、本葬になり彩と緑の父方の祖父母が出席……やはり其々の父親は参列を見送ったのは引き取りを要請されると思ったのだろう、最も其々新たな家庭を持っているのは健太には好都合だ。義姉の交友関係は娘二人のクラスメートの保護者か株か投資関連と言った所だ。警察も来ている辺り兜町の迅の言う通り義姉は利用された節もある……。
本葬から数日後、義姉の私室にてブランド品各種の買取査定をしている男はため息交じりで電卓を叩く、因みに株投資を趣味にし迅の弟子の一人だ。
「全部売るんですか?」
「ああ、彩も使うには気が引けるって言うしな……見栄を張ったようだ」
健太は鍵師に開けて貰った金庫の中身から映像ディスクを見つけた。
「これって?」
「ここにあったのか、義姉が俺を言いなりにさせた映像だよ……再婚して間もない時にね」
「黙っておくよ、師匠にも」
質屋の男性は察したのか仕事に戻った。