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未来宇宙史
官能リレー小説 - SF

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未来宇宙史 2

「あのね、これには由緒正しい謂れがありまして。その昔コメリカという国にラスハイドロという場所があって、そこの大ギャンブル施設・カジノの正装なのよ? あんたみたいな真っ黒けで色気もセンスも無い服の人に文句言われたくないわ」
「お前の知識は絶対に偏ってるぞ、エナ……それに、ラスハイドロのバニースーツは黒だろ」
「あら、あんたの好きななんとか星雲のスーツに色を合わせているんじゃない。そんな気配りにも気付かないなんて鈍感な男ね」
 瞳の色と同じ、燃えるような赤のバニースーツに身を包んで呆れ顔を見せたエナと呼ばれる美少女。
 その白い肌と赤の対比が毒々しいまでの色気を放っていた。
「出来ればいらぬ世話は省いて貰いたいもんだ」
 目のやり場に困ったのか、あからさまに視線を外して小言を言う青年。
「カイル」
「んぁ?」
「どこ見てんの? やらし」
「誰がお前のなんか見るかよ」
 事実、その豊満な胸とスラリと伸びる足、目鼻立ちのしっかりしたその顔はどこか人形のような雰囲気を醸し出していて、カイルと呼ばれた青年は振り向いたと同時に思わず見惚れてしまっていた。
「ん〜? 私なんかの何を見ないと言ってるのかなぁ〜?」
「語弊があった語弊が!」
 必死に弁解するも、完全にエナのペースである。
「別に良いのにぃ……アノトキみたいに好きにしちゃっていいのよ?」
 そう言いながらエナは胸の部分を徐々に露出させていき、もう少しでピンク色の乳輪が見えそうというところで止めて誘惑する。
「あの時っておまえなぁ……!」
 カイルが顔を真っ赤にしながらした抗議は、操縦室と扉一枚で繋がっている倉庫方面からのやや大きめの音で中断された。
「なに? 今の……」
 冷静さを欠いた静かなトーンでエナは倉庫に目を遣る。 カイルは人差し指を立てて唇に当てながらエナに目配せをすると、足音をたてないようにゆっくりと倉庫に近づいていく。
 拍子抜けするほど静かな倉庫内に、ネズミか何かが入り込んだのだろうと胸をなで下ろした刹那、また大きくガタン! という音がした。
 恐る恐るカイルが音のした方へ歩み寄ると……。
「それ……なに……?」
 身の毛もよだつほど、という表現が似合うほどに体も声も震えているエナから発せられた言葉の意味を理解するのに、カイルはさした時間を要さなかった。
「は……?」
 それは……耳、だった。
 これがただの耳ならホラーだが、残念ながら動物の耳を模した所謂ネコミミ等と称される物体だからタチが悪い。
 カイルはその物体が半ば何なのか分かりつつも、おもむろに手を伸ばし触り心地を確かめる。
「げ……あったけぇ……」
 てっきりツクリモノなのかと思っていたカイルにはそれが衝撃だったのだが、一連の動作を見ていたエナにとっては、得体の知れないものに躊躇わず手を伸ばす行動も、それが温かいからと言って手を引っ込めるのも、すべてが雷に打たれたような衝撃で、目をしばたたかせ、ただただ絶句するしかなかった。

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