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地球卵
官能リレー小説 - SF

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地球卵 61

Cクラスの土曜日のレギュラーぐらいになれたら、スラムの生活から抜け出す資金ぐらいすぐできる。
あの狭く汚いスラムのアパートから、下町の小さな一軒家に移ると言うのはカレンにとっても進一にとっても大きな進歩だった。
そして、ここからが問題である。
格闘界には、Bクラスの壁と言われる物が存在する。
強さだけでなく、Bクラスからは品格と容姿も問われる。
特に品格は主人だけでなく付き従う人間もだ。
品格を見る目は相撲より遥かに厳しく、実力がありながら万年Cクラスと言う者も少なくない。

だから、Cクラスの土日は実力的にBクラスと変わらない為に、それも壁になる。
品格が十二分に備わっているだけでも、Bクラスには容易に上がれないのだ。
Cクラスのランキングではカレンはようやく強さでトップ20に入った所で、容姿と品格ではまだそこまで行ってない。
それが今後の課題だった。
容姿は品質の良い母乳が必要で、牝達の食事改善はカレンの成績次第で何とかなるだろう。
問題は主従共に品格だ。
特に落伍者の進一への世間の見る目はかなり厳しい。

進一自身も精進して、人間の男の最高峰の称号、執事と呼ばれる所までもいかないまでも、それに一歩でも近づかなくてはならない。
そんな主従にやらねばならない事は多くあるが、当面の課題は安定した収入である。
生活改善には安定した収入が必須だからだ。
そうなると、当然センスだけで戦っているカレンのスタイルが問題になってくる。
生粋のシューターと言えるカレンは、シュート戦は無類の強さを持っている。
一撃必殺の右フックは、もう彼女の代名詞と言えるし、首相撲からの膝蹴りも対戦相手に恐怖を与えている。

だがインファイトすぎて、アウトファイトで足を使ってくる相手は少し苦手にしている。
それでもシュート戦なら強引な突進力で有無を言わせないが、投げ技や関節技が苦手なカレンは、グラップ戦になると途端に旗色が悪くなる。
インファイトの分、仕留め損なうとタックルを喰らって投げられた上に関節技・・・
そうなると手も足も出ない。
たまにあるキャッチ戦に至っては、カモにしかなってない。
こればっかりは、優秀なコーチについて学ばなければならないが、ジムの月謝はかなり高い訳である。

特に投げや関節を教えれるコーチは、打撃のコーチより高い。
しかし、そろそろ打撃オンリーでどうにかなる程甘くないレベルになってきている。
それにマッチメイクはこちらに選ぶ権利は無い。現状、キャッチ戦は捨て試合、グラップ戦は運次第、シュート戦だけで食ってる状況なのだ。
しかし、カレンがその辺りの事を考えてないので、進一が悩んで探しているのが現状だった。
能天気でご機嫌な主の横で、進一はため息混じりに住処に帰る。
もう、この道を通るのも後数回だろう。

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