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地球卵
官能リレー小説 - SF

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地球卵 56

だが相手もさるもの。ふらつく足腰に鞭打ちながら何とか立ち上がると、10カウントを取っていた審判を止めさせたのである。
それを見て進一はヤバい、と直感する。
おそらくカレンは相手が追い込まれて反則を使う前に、相手をしとめたかったのであろう。
だがそれに失敗した今。
手負いの獣となった相手は、死に物狂いで反撃してくるはずだ。

「カレン――――ッ!!」

気をつけろ。そう言う前に、手負いの相手は試合再開の合図を待たずに突っ込んでいく。
そして手負いとは思えぬジャブの連打をカレンに放つ!
合図待たずの突然の攻撃に驚いたカレンであったが、すぐに冷静を取り戻すと、ジャブの嵐を華麗にかわす。が!

ガクンッ、

「!?」

突然カレンが何かに引っ張られるように相手に引き寄せられると。
人体でもっとも硬い部分の1つとされるヒジ打ちが、カレンの顔に炸裂した。

「カ・・・っ!?」

思わず悲鳴を上げる進一。しかし彼はわかっていなかった。
守るものを手に入れた、ニンフ人の強さというものを。
真っ赤な血の花を咲かせたカレンは、その一撃で戦意を失うどころか一気に燃え上がらせ。
反撃のアッパーを相手にたたきつけた。
それをもろに食らって、後ろによろける対戦相手。
そこにカレン必殺の右ハイが放たれ。対戦相手はきれいに吹っ飛んでいった。
審判はあわてて対戦相手の様子を見るも、すぐに交差した腕を掲げて試合続行不能を伝える。
高らかに鳴り響くゴングと観客たちの歓声をバックに、カレンの勝利がここに決定したのであった。

――――

「痛ッ!?痛い痛いッ!?し、進一っ、もっと優しく!」
「うるさいっ!人を心配させた罰だっ、おとなしくしてろっ!?」

控え室。試合を終えたカレンは、控え室で進一の治療を受けていた。
と言っても、ただの素人なので傷口の消毒や絆創膏を張ったりと簡単な治療をするだけだ。

「まったく・・・。
 あれだけ何するかわからない相手だから、気をつけろって言ったのに・・・」
「だって・・・仕方ないだろ?
 パンチだと思ってたあれが、実は髪つかみだったなんて思わなかったんだよ」

そう。あのときの不自然な動きの正体は、対戦相手が外したパンチにカムフラージュした手で髪の毛をつかんだからだったのだ。
あとは引き寄せたところに、ダメージのでかい攻撃を仕掛けてやればいい。

「うおっ、つ!?ちくしょー、
 あの女・・・人の髪の毛を思いっきり引っ張りやがって・・・ハゲたらどうしてくれるんでぇ!?
 あぐっ!?あだだだっ!?し、進一!痛い!
 傷口をそんなにぐりぐりさせたら痛いって!」

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