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地球卵
官能リレー小説 - SF

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地球卵 45

しかも最下級のマイナーが住むスラムは危険地帯で、昔から絶対行ってはならないと言われる場所だった。
ダウナーと呼ばれる奴隷身分の方が施設に隔離されているからましなぐらいなのだ。
それは、いざ進一が競売にかけられると否応なく理解できた。
マイナーの風体が酷いのだ。
まともなニンフ人ならしない刺青やボディピアス、妙な髪型も多い。
殆どの者が目付きが鋭く、獲物を見る目で進一を見ていた。
進一の競売は、千円単位の競り合いの中、最後は五万程で決着がついた。

西地区と言われる広大かつ危険なスラム在住の17歳の格闘家・・・
それが進一の新たな主だった。
最高位のニンフ人の主人の所から、最下級の主人の元に行く事になった進一。
そうそういない体験をする事になった進一は、これでエデンから追放された訳である。
以前の主フォルトナが新たな種馬を得て、霧香、ほのかと共にその種馬に何度も孕まされたと言う事を風の便りに聞くのは随分先の話である。


そして、競売のステージを降り新たな主と対面した進一は、流石に開いた口が塞がらなかった。

フォルトナと比べるのは罪だが、その主の風体は凄くひどかった。
上と下のボサボサのヘア・・・目元まで隠して何の手入れもしていないのが丸分かりだ。
肌もガサガサで何か匂う・・・風呂に入っているのか不明だ
17歳・・・らしくない。
伝説にある乞食と同じだ。
彼女は無邪気に笑いデカいリュックを進一の前に置く。
「高いせりだったけど・・・よく手に入ったよなー」
五万程度で売られた進一はショックだったが、顔半分隠れた無邪気な笑顔で彼女ははしゃいでいた。

「あっ・・・初めまして・・・橘進一です。」
ショックでも機械的にそれだけ言えた進一に、彼女は屈託無い笑顔で進一を見る。
「まっ、詳しい話は後だ!」
そう言うとリュックに進一をヒョイと放り込む。
格闘家と言うだけあって、グローブやタオルが入ったリュックは十分進一ぐらい入るが・・・何せ臭い。
慌ててリュックから顔だけ出した時には、このニンフ人にリュックは背負われていた。
「んじゃ、帰るぜ。」
ご機嫌な彼女の何故か憎めない仕草に、進一は複雑な心境で揺られる事となった。

始めてのスラム・・・
映画で見たよりも荒廃してるが、映画で見た程酷い様子じゃない。
しかし、どことなく危険な香りがしていた。
この主人は、全く怯む様子すら無く散歩気分で歩いている。
そして、見るからに崩れそうなマンションに入り、とある部屋に入って行った。
「これがオレの部屋だぜ。」
そう言って入った所は、予想より酷い。
六畳程の間取りに流しが付き、部屋の角には便器。
狭いだけでなく全体的に汚いし臭い。
進一はリュックから出ながら彼女に聞く。

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