PiPi's World 投稿小説

地球卵
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 42
 44
の最後へ

地球卵 44

兵士長の話でシエナはピンと来た。
元々ルシュイン卿は進一を迎える事に反対だった。
それは常々聞いていたが、フォルトナの強い願いにあっさりと認めていた。
流石のルシュイン卿と言えど子供には甘いのかと思っていたが、そうでないらしい。
「進一がいなくなれば、ファームが維持できん!」
「心配するな。主がフォルトナ様に相応しい牡を自ら選んで与えてくださる。」
やはりそうかとシエナはそれを聞いて気付いた。
ルシュイン卿は初めからフォルトナに自分の推薦する牡を与えるつもりだったのだ。

ただ強引に話を進めればフォルトナが反発するから一時的に進一を認め、彼が大きなミスをするのを待っていたのだろう。
策士とも言われるルシュイン卿だから、メイドに内通者ぐらい入れていたのかもしれない。
シエナは自分の迂闊さを呪うしかなかった。
「貴様ら護衛二人とフォルトナ様には謹慎して貰う!。種馬は本来去勢の所、ご当主様の温情により我々が接収の上、競売にかける!」
こうして進一の運命は、彼の知らない所でまた大きく変化したのであった。



そして数日後、進一は檻の中にいた。
進一にとってフォルトナとの出会いからは毎日が目まぐるしく変わり、まるで何年もの年月を経たように感じていた。
身体は元に戻して貰ったものの、彼に押された烙印は種馬失格・・・
右肩に入れられた焼き印こそ、彼が種馬として不適格と言う証だった。
確かに精力は人並み外れていたが、精神が余りにも未熟、しかも支配民族たるニンフ人に対しての不遜な振る舞いがその理由だった。
与えられた課題を自らの力でクリアできなければ淘汰される家畜と言う立場を、嫌と言う程分からされる一件だった。

進一はあまり身分に厳しくない中流家庭に育ち、その精力故にちやほやされたが、それが自らの甘さに繋がっていたとは今となってようやく気付かされる事となった。
その甘さが、最良の主であるフォルトナと、つがいである霧香やほのかを失う事になるとは、悔やんでも悔やみきれなかった。
悔恨の中でぬけがらのような進一は檻の中で競売の時を待つしかない。
競売・・・
それは、なかなか種馬や牝を手に入れられない中流以下のニンフ人に安価な値段で提供するシステム。

その殆どがなにかしらの訳有りで、進一のように焼き印を押された者は、最下級の競売にかけられる。
進一の檻には『精力過多。精神難有り。』と書かれたカードに一万と言う値札が付けられていた。
自分にそれだけの価値しかないと言われてるようで、更に進一を打ちのめした。
進一の売られた最下級の競売は最も危険であった。
参加者の殆どはファームを養う経済基盤が無く、買う理由は使い捨ての性欲処理器で、さんざん搾った後に非合法の風俗店に売られるのが大半だった。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す