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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 48

その途端にデータが展開されて行く。飛び出す絵本のようだった。
ゼイラアは飛び出してきた小さなビル街の真上にとどまり見降ろす。
それは自衛隊基地での戦闘データだった。
ラデンKがぼこぼこ地面を踏み外していたり、標的の様に放置されたオリハールが次々と狙い撃ちにされて爆発したりと戦場は混沌としていた。
こんなバカげた命令を誰が出しているのだろうか?自分が居なかった数年間になにが起こったのだろうか?
これではただの戦争ごっこだ…。
自分の周囲で機体を模したCGが爆発四散して行くのを見まわしながら、叫ぶ。
なんで基地の戦闘機はさっさと飛ばない?なんで第三勢力が大勢戦場に居る?なんで敵の密集したルートを通る?
そしてラデンK型にしつこく食い付いてくるあの変な機体はなんなんだよ!
一体誰が悪いのか。こんな所でくすぶっている自分なのか、いつの間に変わってしまった自軍なのか。とにかくとにかく腹が立って仕方がない。
怒りはとりあえず蝙蝠の機体に向いた。
とりあえずは分かりやすい敵に八つ当たり、という形になったが仕方がない。
そうでもしなければゼイラアは平静を保てない…。

イライラしつつもそれぞれの陣営の機体の退却ルートや今後の動きを分析して行く。
王国軍は複数のマホルカタイプの機体と合流しているようだった。その様子はデータが足りないので棒状のモデルであらわされていた。
待機のマホルカは撤退時の霧払い役や予備戦力らしかった。
CGがあまりにも単純化されていて武装の有無は分からない。そもそも機体がマホルカではない可能性すらもある。

ドリザルがマホルカと合流した以降はデータが無かった。輸送機で一直線に本国に戻っている途中か、急造の中継基地に潜んだか…。
まあどうでもいいか。
ゼイラアはこの国に愛着も無い、どうなろうと知った事ではなかった。
勝手に滅んでしまえばいい。
上層部のあの堕落した態度に先代の取得した異世界技術だよりの優位性。
これでレガート派を好きになれってのが不可能だ。元から好きになる努力をするつもりはないが。
一部軍人にはまともな者も評価に値する野心がある者も居ないわけではない。しかしそれらもゼイラアからは、些細な抵抗にしか見えない。
彼等がやっとの思いで手に入れた技術の元祖が自分の世界の物なのだから。
それに王国軍も不快だった。
寄せ集めをした結果、いつしか目的も主張もぶれにぶれて今ではならず者のようだ。王国軍とは呼べない。
もはやなんのために戦っているのかすらわかっていないのかも知れない。
レガート派が寝返り各地の拠点を占領しなければここまではならなかったのだろうが、だからと言って王国軍の現状の全てを受け入れる事は出来ない。

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