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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 1

少年は灰色の大地に涙を落としていた。
「り…リィト……。」
人の名前らしい言葉を弱々しく、阿咽混じりに言った。
少年の腕の中、そこに少女がいた。その少女には血の気がなく、それとは反するように、血の池をつくっていた。その血は少女の中で廻っていた血であり、その量は致死量を遥かに超えていた。
「…っ…っ………。」
少年は泣くのをやめ、怒りを宿らせた瞳で灰色の空を見上げた。
少年の目線の先、そこは景色が歪んでいた。
「ゼイル…!」
少年は憎むべき者の名を吐いた。

往こう………!

そう少年は言い、立ち上がった。
後ろを振り返る。
そこには、巨人がいた。
鋼を纏った、全身醜くえぐられ、半身を奪われた機械仕掛けの巨人が。それはこの世界の希望だった。混沌を染める者達に、悪しき神を討つ力、器だった。
だが、今こうして世界は崩壊し始めて逝く。そう、少年は討て無かった。悪しき神を。
逸れでも、少年は倒れない。
討つべき者を討つ為に。
「往くぞ、アハトレーダー。」
少年はその機械仕掛けの巨人の、神を装(き)る機(うつわ)の名を言った。
少年は瞳を閉じた。

それと共に顕れる、淡い蒼い光が少年を包みこむ。
光が少年を完全に包みこむと一際激しく光り、爆ぜた。
その光が沈み、少年の姿が確かに現る。
その姿、少年は黒い法衣の様なものを纏っていた。長い衣は風と共に羽ばたくように揺らめいた。
少年は自らの体を光の粒子に変え、巨人の、アハトレーダーの胸部の中へ入っていった。

アハトレーダーのコックピットの中で光の粒子が集まり、少年は姿を顕した。
起動の音が唸り、黒視界のコックピット内が計器の光に照らされ、180度メインカメラの、アハトレーダーの視界が拡がる。
往くは捻れた世界に顕れた亀裂であり〔扉〕である。何処へ往くも知らぬ他空間への。
ブースターを吹き出し、〔扉〕へと近付く。
瞬間、世界が歪み、〔扉〕の中へ入った。
少年の意識は、そこで途切れた。

ただ一つ、討つべき敵を討つ為に…

私はいつも通り、学校へ行き、授業を受け、友達と昨日のテレビとか、あいつとあの子は実は付き合っているとか、そんなくだらない話をして笑ったりして過ごしている。
そんな毎日の繰り返し。別に飽きたとかそんな事はない。
だけど、なにか物足りなかった。何か自分でも出来ることはないのか。
そんな不毛な事を考えて

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