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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 47

名前がようやく決まった。
「影みたいに黒いからスキアー2で良いかな、もう」
スキアーとはディゾナント用語で影という意味だ。ギリシャ語にも同じ発音の単語がある。
自らがゼイルの影である事を暗示しているかのような名だった。それを無意識に行っているのだから本当にゼイラアは恐ろしい。
こうしてカスタム機スキアー2は一応の完成を見せた。
全壊をしたカスタム機を更に別の世界の部品で改造するという無茶苦茶な流れではあったが、性能はどうにか元の機体と同等を保つ事が出来た。
しかしこれは理論上の話で、レールガンを搭載して重くなりバランスも変わった機体が元のようにきびきびと動けるとは限らない。それも計算に入れてスラスター類を増設してはいるのだが…。
「機体が完成したところで今すぐ日本に行けるわけはないか…」
レガート派陣営の許可が降りるか降りないかは問題ではない。あまりに距離が離れすぎているのだ。
今更行ったところでゼイラアの部下達を乗せた輸送機が、この機体の識別コードや信号弾による救難信号を察知してくれるとは思えない。
何より『ゼイラアの』部下どころか、上官も同僚もあの輸送機には乗っていない。
あれは『ゼイル』派閥で地球侵略の尖兵、ゼイラアの記憶にある部隊編成や作戦内容とも全く別物の存在。

元はカターリナカスタム、現在スキアー2と名付けられた機体の通信・電子戦機器もまた、十全の状態へと復旧していた。
レガート陣営の指令所での通信内容もまた容易に傍受出来る。
ゼイラアは自分の知る地球侵攻作戦と食い違いのある戦況に僅か違和感を抱きながら、電子情報の海へと精神を委ねた…。

こうすると本当に体がパソコン内部に入り込んだかのような気分になる。
感覚でいえば、端末を手に巨大な図書館を飛び回っているのに近い。こういう感覚がある方が目的のデータを探しやすいからそうなっているらしいが、ゼイラアはその感覚が嫌いではなかった。
ゼイラアはデータの1つを手に取る。

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