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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 46

人間をチン出来るほどの電子戦兵装、と周囲には説明したが「あの人」は別の意味でチンしまくりたい。
そんな事を考えながら作業しているうちにカターリナカスタムは大分姿が変わってきた。
かろうじて雰囲気が残っているだけで、機体の性質すらも別物になっている。
カターリナカスタムはバランスの良い高機動タイプだったが、今は切り欠きの入った右肩部にレールガンを一門取り付けた中距離砲撃特化タイプになってしまっている。
もはや、なんとなく似ているだけの別の機体だ。レールガンをつけ足しただけの改造とは比べ物にならない。
「もう名前を変えた方が良いのかもしれないな」
可能な範囲でカターリナカスタム本来の原型を残そうとした上からタルラホーンの部品を継ぎ足した結果である。
それが余計にカターリナとタルラホーンどちらの系列機と分類するにも微妙な外観へと導いていた。

それでもゼイラアはどこか満足気である。
カウンターウェイトとして左肩に装着された手槍兼用の大型シールド、そこにゼイラアは不可思議な色彩を持つ薔薇のエンブレムを施していた。
ゼイラアの知る『あの人』が好きだった花、である。

面白いことにゼイラアのコピー元であるゼイルは薔薇を苦手に思っている。
大嫌いという程でもないが、まず自機のエンブレムにはしない。
嫌いな理由はゼイル本人もわからない、とにかく薔薇を見ると気分がもやつく。実物だけでなく、デフォルメされたイラストでも駄目だった。
そしてゼイラアの想い人も同様…歪んだ記憶にある『あの人』とは反対に実在する『あの人』は薔薇を嫌っていた。

第一そもそも薔薇どうこう以前、実在する『あの人』に至ってはゼイラアの存在自体を知る筈もないのだ。

豪放かつ面倒見の良い彼ならば、薔薇のエンブレムに拒否感を示しつつもゼイラアを迎え入れる可能性はあるだろう。
見知らぬ志願兵の一人として、赤の他人として、である。

妄想と現実と時空の狭間に生まれた存在は自分が何者なのかさえ知らず、最終調整に入りながら機体の名前を考えていた。

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