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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 43

砕けた能天気な発言を誰もとがめるものは居ない。その小太りの貴族の名はユーリル・ル・レガート、一応レガート派の代表ということになっている。
彼はステロタイプ的無能な貴族だった。
レガート派の基礎を作り上げたザカリア・リ・レガートの親族という要素だけで今の地位についている…。
「ところで追撃部隊とやらは今どこに居るのか?君?」
無責任に話を振られたナザナ・オレガノがはっとする。
お前はレガート派の代表なんだからそれくらい把握してろよ、と言いたくなるのをぐっとこらえ淡々と返す。
「目標のドリザルが混戦状態に陥ったので待機して出方を見ているそうです」
「その謎のタルラホーンが味方とは限りませんしね…」
そう続くのはラーベイト・パプリカ。
ラ―ベイトは続ける。
「カターリナに助けられた、というのも気になる所です。通信傍受してますがどうにも…」
ミトンの存在はまだ作戦本部に伝わって居なかった。商談ついでにタルラホーンを日本に密輸していたという事すら誰も知らないのだから無理もない。
結論が出ないので結局、アホ貴族のせいでミトンのタルラホーンについては一旦放置される事になった。問題を先延ばしにしたと言ってもいい。
画面が切り替わる。
バットとラデンk型が戦っているところが表示される。
途端にラーベイトに付き添われていた兵士の顔色が変わる。
一般兵とは違う黒と赤のパイロットスーツを着たその人物はすぐにラーベイトに小声で話しかけていた。
「この録画に映っている機体に乗ってるのは私の大切な人なんです。あの機体と合流出来ませんか?せめて通信だけでも…」
この言葉にラーベイトは内心ガッツポーズをした。
異世界の人間とパイプラインがあるのなら話は早い。交渉次第で更に異世界のテクノロジーが手に入るだろう。

レガート派が異世界のテクノロジーを初めて手に入れたのは3年前。
ワープゲート実用化実験中の事故の直後、機材の残骸の上に沸いたように出現した機体がある。
それが後に解析されタルラホーンの原型となったのだ。
その謎の機体に乗っていたのがこの黒いパイロットスーツの人物だった。

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