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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 39

性格はかなり危険だが肩書きは良い、アエラティ王国の誰もが彼女を色々な意味で狙うだろう。
だが、異世界から来た者にとってその肩書きは意味をなさない。
そのおかげで今までに無い異質な空気がコックピットを満たしている。
「とにかく、奇襲は一応成功したというわけか…」
突発的に飛び出して、10機のうち3機を反撃行動に移る前に破壊。中々出来る事ではない。
結果的に酷くやられてしまったとはいえ、これで王国軍の作戦とやらは大きく狂ったように思われる。
それに今頃は遠隔操作のカターリナが更に作戦をかきまわしている事だろう…。
ダイダイオは膝に座らせた小娘が面倒になったついで、サブモニターをカターリナ視点に切り替える。

「それじゃあ落ち着いた所でAIの働きぶりでも見」
「私はそんな物より騎士殿の男性器を見せて頂きたいのです。」

ダイダイオはまるで、近所の扱い難い生意気なクソ餓鬼を預かったニートが『とりあえずテレビでも見よう』と申し出た所を『つまんねーよお前何か面白い事しろよ』と返された様な表情で固まる。

メインモニターには比較的無傷な習志野の街並みが流れるその脇、サブモニターでは自動操縦のカターリナ視点の映像。
誘われるままホイホイついて来た鬼ザルがリボルバー型の大口径ハンドガンを照準、ロックオン警報。
カターリナは路駐のワゴン車を蹴飛ばし、突然のキラーパスにつまづいた鬼ザルがバラエティ番組ばりの勢いで転倒する。

しかしミトンのくりくりアーモンド型の上目遣いは全く興味を示していない。
今すぐハッチ開けてコイツ放り出した方がいいんじゃないか、ダイダイオはそんな葛藤さえ抱く。

「騎士殿だって私のを見たでしょう?だから見せて頂けませんか?」
「あの、えっと、その。」

ミトンが唇をアヒルの様に唇を尖らせて紡ぎ出す正論。
コーランに基づく罪と罰は等価という主張にダイダイオは何も言い返せない。

格子状のフェイスガードを歪ませた鬼ザルが、オラァン?と唸る様な金属音と共に立ち直った所、カターリナのサーベルがダイナモ感覚で踊る。
それでもミトンは何一つ興味を示さず怒っているのか笑っているのか解らない表情で、蒼白になったダイダイオを睨み上げている。

「私達は貴方のお味方と合流する事でしょう。」
「ん…そうなるだろうな?」

ダイダイオは滝の様な油汗を流し現実逃避、サブモニターに視線を反らす。
カターリナのサーベルと鬼ザルのリボルバーはその手から離れ格闘戦に突入していた。
油圧系のダメージで互いにもどかしく機体を滑らせ組んず解れつ取っ組み合っている。
やはりミトンは全く興味を示さずにダイダイオを睨む合間、チラッチラッと視線を下に剥けていないモノに向けている。

「じゃあそこで私は嘘泣きしながら、一番偉そうな人にない事ない事言いつけます。」
「確かに非があるのは私だが、交渉条件が理不尽そのものではないのかね。」

偶然リボルバーを拾って優勢となったカターリナ、ホールドアップ姿勢で無抵抗を示す鬼ザル、しかしAIに交渉の余地はないだろう。
そしてミトンもまた要求しない、ただひたすら強要している。

一転攻勢。
とにかく皆頭がおかしい。
ダイダイオはこの娘を助けなかった方が良かったとすら思いはじめた。厄介すぎる。
特に性格が悪いわけではない。ダイダイオよりずっとまともだろう。
ただ、好奇心が旺盛すぎるのだ…。

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