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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 26

時折スラスターやホバーから漏れる蒼い燐光…。
空自を始め最近各国で航空機用に試験されているオリハルコン・エンジンと似ていた。
同系列の技術がテロリストにも流出しているのかそれとも…。

渚はそこで考えるのを止めた、そこから先は技術屋と政治屋の仕事である、自分は戦争屋としての仕事を果たすのみ。

自衛隊を襲撃したテロリスト機は十機、うち撃破ないし自爆を確認出来たのは八機。

あのオレンジは任務か忠義か単なる安っぽいゴマスリか、隊長機を逃がす撤退戦の要を引き受けた。
渚はあの目立つ動きをそう解釈していた

「陽動だとかそんなん知るかよ…コイツをてめぇのケツに突っ込めばアタシ達の勝ちだ!」
「まだ追ってくるか旧式のグラス号風情が!コーンドライブに換装したカターリナの敵ではない!」

片や異世界の騎士、片や雌ゴリラ、されど戦士たる者の一騎打ちである。
どちらともなく互いにオープン回線で通信モニターを開く。

「いけすかねぇ残念イケメンて所だな、お前童貞だろ?」
「ちょ?おま?あわび?真っ黒な鮑がぁああああああ?」

渚側のモニターに映ったダイダイオ・レン・ジクンの如何にも貴族然とした細面が恐怖に歪む。
対してダイダイオの開いたモニターには違うモノがおっぴろげられていた。
それが女性の下半身だと理解した彼は更に悲鳴を上げる。
渚は通信用カメラが邪魔だと引っ込めたお陰で、思いっきり股間がアップになっているのだ。

「おおお…女性のアレが喋ってる?黒い!嘘だ!」
「マン○ぐらいでうるせぇな!この童貞野郎!」
「どどど童貞ちゃうわ!」
「黒くても緩くてもマ○コは○ンコなんだよ!童貞野郎!」

黒いオマ○コをどアップにして喚き散らす様子はまさにヒャクメルゲ。
早くバロム1を呼ばなくては…。頭がおかしくなりそうだ。
そんな状態で戦闘が始まったものだからますます空間のキ○ガイ度合いが増して行く。
物理や精神どころか時空レベルまでバイド汚染が進んだ辺り、渚はR-Typeのボスキャラ紛いな代物を引っ込めた。
厳密にはカメラを定位置に戻し、今更ながらテロリストとの対話を試みる事にした。

「童貞野郎!てめぇら何者だ?どういう目的のテロ行為だ!」
「ほほう?一応美人さんの部類かな?雌ゴリラの中では?」
「話反らすんじゃねぇよ童貞野郎!」
「地球の猿と語らう気などないわ!」

そこで渚はしばし考え込み、ゴリラ脳で結論を出した。

「つまりその、なんだお前、地球人じゃない訳か。」
「貴様…何故それに気付いた?地球の猿ごときが?」

渚の認識だと『こいつは自分が宇宙人だと思い込んでいる頭の可哀想な奴』程度。
だがこのダイダイオ、自分が異世界人である事の露見、渚は作戦の全てを察知しているとまで拡大解釈した。

そう、それは単なる疑心暗鬼に過ぎない、彼は狂っていた。
元は良家の出身で生まれながらの騎士階級、戦場でもそれなりの武勲を立てた若者である。
しかし彼は謀略渦巻く貴族社会の毒気と、容赦なき戦場の狂気にあてられ続け病んでいた。

そうして狂った男は、全てから見捨てられ、現在に至る。
そしてダイダイオは清々しい笑顔を浮かべ、モニターごし渚にペコリと頭を下げるなり、懇願する様な上目遣いで彼女を見上げた。

「雌ゴリラさん、貴女は色々知りすぎた、そこでお願いです。」
「随分周りくどい童貞野郎だな?一発ヤラせて下さいってか?」
「死んで下さい。」
「上等だよコラ。」

ゴングが鳴った、狂人と獣人を乗せた二体の鉄巨人が、ローラーダッシュの火花を散らす。

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