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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 24

銃砲を使わぬ弾薬の炸裂程度ではラデン系ご用達の重装甲には傷ひとつ付かない。
無論、あのバットの女もそれを理解した上で目眩ましに使ったのだろう。

しかし主に偵察機やゲリラ戦用としての方向性で扱われるバットの武装ペイロードは少ない。
手持ち火器を失えば、固定機銃で牽制しながら機動性を活かした白兵か格闘、それがセオリーとなるだろう。
そうなると余程の操縦技術がない限り、ラデン系との戦いでバットに勝ち目はない。

「その細腕ヘシ折ってやる…と言いたい所だがな。」

ナパームの炎上と弾薬誘爆を避けたバットはまだ空中。
ドゥティもまたガトリングの照準補正を済ませていた。
陸戦兵器である装機、空を飛べて当たり前の騎兵クラスなら兎も角、歩兵クラスの空中機動能力はたかが知れている。

装機を獣に例えたとしても鳥ではない、精々がホバリングやジャンプ補助ぐらいだ。

「上に逃げるとは、素人めが!」

ドゥティは30mmガトリングの轟音とバットを追う曳光弾の火線に勝利を確信していた…が。

「なん…だと?」

バットの骸骨にも似たマネキン顔が、地を這うラデンをあざ笑ったかの様に見えた。

そしてバットの巧みな上下移動で、弾幕が予測コースを外れ虚空に放物線を描く。
弾道修正を試みるもガトリングにオーバーヒートのアラーム。

相手は鳥でもないが獣でもなく、蝙蝠であった。

背中に翼状の力場を発生させたバットが空を飛んでいた。
これは本家ゴールデン・バットの機能、だがダウングレード機のバットでも同系列機である以上、こうした後付けカスタムは可能であった。

なんとも半端な機体だった。しかしそのどっちつかずな感じがドゥティの判断を迷わせた。
グランドナパームの射角外の上空から急迫され、そしてまともに縦切りを食らう。
胸部グランドナパームへの誘爆はなかったが、ついに右腕がもぎ飛んだ。右足にまで異常が出始めた。
ガトリングは無事ではあるが、接近戦を仕掛けられた今は拾うどころではない。
無事な左腕でトライデントを振り回しつつ後退。
先程グランドナパームを使った時点、軽量級相手でも惜しみなく、もう一発食らわせていればと後悔する。
この劣勢の原因はドゥティの油断や戦闘スタイルの相性だけではない。

手頃な空自と陸自の基地(分屯地)を蹴散らし、ドゥティの勇猛さを知らしめる。
元はそれだけだった筈の(戦略価値ゼロな)作戦において違和感だらけの戦場。
石器時代の戦士でさえも策謀を察し始めながら、その確信に至れぬ困惑と動揺を抱いていた。

「だが私は!ゼイル様の騎士!」

その気概や良し、しかしそれだけでは勝利どころか、生還さえも難しい程にラデンは傷ついていた。
重装甲機は撃破されにくい反面、一旦損傷を負えばその機体重量から負担が蓄積してゆく。
右足の不調も地盤を踏み抜いた状態で奇襲を受け、無理な姿勢から回避や防御を行ったせいだろう。

完全に終わったな、そう言いたげにバットが踏み込んでくる。
だが、次の瞬間バットは背後からの銃撃をまともに食らい前のめりに倒れる。
ドゥティは装備されたクレーンワイヤーで落ちていたガトリングの引き金をひいたのだ。
まともに命中したのは滅茶苦茶に発射された弾丸のごく一部、ではあったが一応バットに損傷は与えた。
「騎士ではあるが海の男でもある!」
ドゥティは得意の釣りでどうにか対等に持ち込んだ。流石は海のガチムチ。
しかし、双方ダメージが大きい。

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