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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 15

味木が寝返る頃にはAAAで模倣したオリハルコン技術を何処に持ち込もうと、既に手土産としての価値はゼロなのだ。

数日後のテロ対象は大蛇院グループの末端企業で都市開発している地域。
直接AAAと関連した施設がない事だけは味木にとって唯一の救いであった。

ゼイルも全くの馬鹿ではなく、官公庁に大蛇院の権限や例の洗脳で手を回している。
自衛隊側で出撃出来るのは習志野分屯地のロボット(人型装甲車)中隊十機のみ。
二倍の戦力差も機体性能と実戦経験、実弾の調達率からしてドゥティ側が優勢。
自己満足度が高い上に、実質出来レースであった。

卯月に至ってはテロを起こす街の工事現場まで視察に行くと言い出し、味木は運転手として付き添いだ。
味木が形だけの書類を確かめると、ここ数日しかめっ面だった表情が和んだ。

「卯っちゃんも結局は、女の子か?」

視察先のリストには『有限会社・竹尾ゼネコンカンパニー』の名があった。
イカれた令嬢のお目当て、あの今時珍しい苦学生タイプの不良少年だろう、味木も彼には好感を持っていた。

そこへ当の卯月がパタパタとお嬢様走りで、縦ロール髪と豊満なバストを駆け寄って来る…。

「おじさまっ?車を出してっ!」


ー習志野市内住宅街予定地ー

そもそも道路が整備されておらず現場まで重機の入り難い地形、しばらく手堀りに頼る現場でスコップを振るう少年。
彼の名は星見崎流星、この物語において裏のメインヒロインである。

…と、そんな大嘘はどうでもいい、現実問題として彼の目前に二発のミサイルが迫っていた。
通称おっぱいミサイル、いや厳密には女子高生そのものがダイブしてくる。

元女子テニス部エースの特攻は流石の流星も避けられなかった。

「流ぅっ星ぃっ!くぅううううんっ?」
「むがふがもが…離せこのおっぱい!」

大蛇院卯月の豪快なハグで流星のヘルメットがスッ飛び、彼の顔面は特大のマシュマロ的な何かで挟まれる。
流星としては有り難くない、ハタからはうらやまけしからん状況に周囲の作業員が硬直する。
竹尾社の梅小路専務は詰め所から飛び出して来るなり、味木にドーモドーモと媚びを売っていた。
本来なら先に卯月へ挨拶といった所だが、今お邪魔すれば却って機嫌を損ねそうなので放置していた。

その卯月と言えばもうムツゴロウさん状態で、メタルダーかキカイダーみたいにカラフルな流星の頭に頬ずりしている。
卯月が彼と接する時の普段通り…しかし流星は本能的に違和感を察していた。

「でね!ショッピングモール現場行ったら社長と外人とロボしかいないんだからっ!」
「アイン兄貴の現場か、ウチみたいな零細に大手回してくれてありがと、センパイ。」

そちらはテロの範囲内、アインとやらは無事では済むまい、卯月に残った僅かな良心が痛む。

「でね…例えばの話なんだけど。」
「んだよ?」

おっぱい越しの違和感、今日は卯月の心拍が妙に荒ぶっている。

「近い内に世界が滅びるとして…私のペットになれば命だけは助…。」
「負け犬になってまで生き延びたかねぇよ。」

冗談としか思えない話にも、流星は谷間から卯月を真剣な瞳で見上げる。
卯月は何か諦めた様な表情で、流星をハグから解放するなり、不意打ちで唇を重ねた。

「え…。」
「さよなら。」

大蛇院卯月は踵を返す。

なんでこうなってしまったのか、なんで決裂してしまったのか。
そんな思いが卯月の頭の中を埋めて行く。
素直に「貴方だけは助けたい」と言えばもしかしたら少しは結果が変わったかも知れないのに。
改めて自分はどうしようもない、と思えた。そもそも壊れていなければ地球総攻撃なんて考えには至らない。
まともな考えを持つ流星とくっつけるわけが無いのだ。総攻撃でどちらかは死ぬだろう。

それなのに、ふざけた言い方しか出来なかった。
そのいら立ちが「どうしてこうなったのか」という奇妙な疑問になっている。

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