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ギアの花火
官能リレー小説 - SF

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ギアの花火 1

複雑に組み合わされたその機械は、何だか一種の巨大な芸術品のようにも見えた。
──これって…。
そうして俺がぼんやりと眺めている間にも、〈十一番目の狩人〉の身体を構成する金属塊群は、ゆっくりと回転しながら、まるでパズルを解くようにそれぞれの位置を入れ替えていく。
やがて、全ての部品が所定の位置についたところで、ようやくそれは動きを止めて、その全貌を明らかにした。
「…!」
俺は思わず息を飲む。
そこに現れたものは、俺がよく知るある物体の姿にそっくりだったのだ。
「こ、これは…」
「ふむ」
背後から覗き込んでいたヴェアード博士が感心したような声を上げる。
「よくできているな。まさかこれほど精巧なものとは思わなかったぞ」
その言葉を聞きながら、俺は改めて目の前にあるものを見つめる。
それはどう見ても、巨大な人間型ロボットにしか見えないものだった。
しかも、俺にはそれがただのロボットだとはとても思えなかった。
それはまさに、かつてこの世界にあったという高度な科学技術文明の象徴…鋼鉄の巨人そのものなのだ。

そして同時に、それは今ここにいるはずのない存在でもあった。
その機体があるという事はつまり、ここは〈大崩壊〉以前の時代だということになってしまうからだ。
だがもちろん、俺達はタイムスリップをしたわけでもなければ、どこか別の惑星に転移してきたわけでもない。
俺達が今立っている場所は、間違いなく現代である。
それなのに、この機体は一体…?
「うーむ、こいつはやはり、システムP1か…?」
再びヴェアード博士が呟いた。
「システムP1?それって何ですか?」
俺は振り返って尋ねる。
確か、最初にヴェアード博士と会った時にもその名称を聞いた覚えがあった。「うむ」と頷いて、博士が説明を始める。
「簡単に言えば、この〈十一番目の狩人〉の制御システムの中核となるパーツだ。操縦席のような物だが、一般的な操縦席とは全くの別物だ」

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