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森の奥の謎
官能リレー小説 - SF

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森の奥の謎 2

茂みに隠れて、横合いから組み付いて捕まえる。

「うわあっ」
「落ち着いてくれ!話が聞きたいだけなんだ!」

しばらくじたばたしていたが、間もなく落ち着いたようだ。

「本当か?本当なら離してよ!痛いよ!」
「済まなかった。逃げないでくれ。俺は谷沢勇樹。単に君たちの部族を探して来ただけだ」

組みついていたのをほどき、とりあえず左腕だけを捕まえて話す。
俺はしげしげとこの子を見てみた。どうやら男の子のようだ。
まだ幼さが残る顔立ちだが、しっかりとした意志を感じさせる目つきをしている。

「お前は……」
「僕は……ラジェス」

何とか名前を答えてくれた。話ができるくらいには落ち着いてくれたらしい。
言葉が通じることはわかっていても、さてどう話せば協力してもらえるだろうか。
少し考えて、俺はとりあえず聞いてみることにした。

「こんな森の中を君みたいな子が一人で歩いて、危なくないのか?」
「……そりゃ、危ないけど……村の長の子として、俺も見回りをしなくちゃいけないんだ。男が足りないんだから」
「そうか、お前さん、村長の子なのか。それで村を守るために見回りしてたのか。偉いじゃないか」
「おだてても何も出ないぞ」

無理もないことだが、かなり警戒されているようだ。
それに少年らしい意地を張っているらしく、彼の心の中は警戒心と反抗心がないまぜになっているのだろう。それが声音にも表れている。
だが、ラジェスの言った一言が気になった。「男が足りないんだから」
おそらく失言だろうが、だとしたらどういうことだろう?
だが、今それをいきなり聞いても答えないだろう。それに、何とか彼の村に入れてほしい。

「こんな所にいても、もうじき夜だ。なあ、悪いが君の村に案内してもらえないか?」
「何だよそれ」

やはり反発された。
彼も少年らしいというか、意地になっている。村を守るためだから無理もないが……

「お前なんか村に連れて行きたくないよ」
「うーん、困ったな……捕まえたのは悪かった。この通り、謝る。申し訳なかった」

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