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俺の開拓物語
官能リレー小説 - SF

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俺の開拓物語 11

 「木星」には給糧艦だった時から自動調理装置が装備されている。調理をこの装置に任せてもいいんだが、自分で作るのもまた楽しいんだよな。想い人と一緒に食べる食事ならなおのことだ。
 ヒルデガルトの好みに合わせて、ふわとろになるように…っと。ちょっと牛乳入れて…適度に火を通して。
 並行して焼いておいたベーコンや、ウインナーも添えて…と。
 サラダを並べて出来上がり。

「おーい、ヒルデガルト、朝食が出来たよ」
「わかりましたマスター」

 確認作業を中断して、ヒルデガルトがやってきた。
 既においしそうな香りが漂っている。

「いただきます」
「いただきます」

 俺達はスクランブルエッグを食べ始めた。
 食べながら、ヒルデガルトが報告してくれる。

「マスター、今日から拠点づくりですね。この辺りでしたら、小屋などを建ててもあまり危険はなさそうです。昨日の触手生物は海岸に生息していてこの辺りにはいないようですし、データを確認した限り、他に危険な生物はほぼ見当たらないようです」
「そうか!ならこの船の近くに建物を少しずつ建てていって、農場も用意できそうだな」
「はい」


 ヒルデガルトも喜んでくれている。
 この星を選んでよかったと思う。
 大気組成が地球とほぼ同じなので、大掛かりなテラフォーミングの必要が無いからだ。
 金のある者は自由にテラフォーミングを楽しんでたりするが、俺にはそこまでの金は無く、そういう大掛かりな改造より、地球に近い環境の星でゆくゆくはスローライフできるような、そんな開拓がしたいんだ。
 食べ終わってから、食器を片付けて、俺とヒルデガルトは第三船倉へ行った。

 ここには建設・輸送用の車両や機械類が入れてある。
 まず、地質探査車に乗り込み、発進させる。船体側面のランプから下船させた。
 これでドローンだけでは探り切れない、地質や深い地層を調べる。
 ヒルデガルトが重力制御ラインのスイッチを入れた。
 これは運び出したい物を選ぶと、その物体にかかっている重力を減力することでほぼ浮いている状態にし、重力ビームで制御することで重さが無いかのようにライン上を移動させるという装置で、このタイプの輸送艦や輸送船では普通に装備されている。
 
 宇宙船は無重力の宇宙を航行するといっても、宇宙で他の艦船に補給する時などは、完全に静止しているわけではない。
 航行しながら補給作業を行う方が普通であったし、航行中に船内作業をしていても、宇宙船が進路変更すればその慣性や遠心力などがかかる。
 また、星の近くであればある程度の重力がかかることもあった。
 そのために重力制御式の移送装置が使われているのだ。
 重力下でも重量物をすいすい運べるので、宇宙船乗員なら誰もが重宝している設備だ。
 まず、パレットに載った建材などの資材を下ろす。

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