PiPi's World 投稿小説

異世界の獣人たち
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 4
 6
の最後へ

異世界の獣人たち 6

フィアナが急に言葉を止めて前を見る。新一がフィアナの目線へと顔を向けると、そこには美しい女性の姿があった。

「フィアナ…何しに戻って来たのよ」
「恋人を見つけたから、家に戻って来たのよ…お母さん」

(お母さん?)

新一は目の前の女性を見るが…まだ若い感じがした。彼女もネコミミがあり、シッポが生えている。

「ふうん…」

女性は新一を見る。

「恋人って、彼は異国の人間じゃない。まるでアルティム族の人間のようね…まさか、貴女アイツらの素性を知らない訳では無いでしょうね?」
「知っているわよ、アイツらの事くらい、でも…彼は別の種族。ウチは彼に心を奪われたの…彼は最高な人なの!」

フィアナの真剣さに少し母もたじろいだ。

「貴方…一体どんな魔法で、この子の心を掴んだのよ…」

母は新一を見て言う。

「え…と、シッポを触った感触が良かったとか…言って」
「まさか…本当なの?」

母が、震えながら新一を見て言う。

「本当よ、彼が触る感触はとても素晴らしいわ」

母は何か考え込む様な表情で、その場に立ち尽くす。
しばらく間を置いてから母は口を開いた。

「分かった…とにかく今日は家に入りなさい。そちらの人も一緒にどうぞ…」

母は2人よりも足場やに目の前にある小さな家へと向かう。

「行きましょう」
「あ…ああ」

新一は気になった…母とフィアナの話し合い、何か自分には知られ無い何かがあるよう思えた。
フィアナ家族が住む家は、木造の家だった。小さな作りではあるが…家族が住む上では十分な広さはあった。家に入る前の見た目は洋風かと思ったが…家の中に入った感じは独創的だと感じた…。少なくとも地球との暮らし方は、それほど変わらない…。

新一は来客者として、家の1番上の空いている部屋を用意してもらい、そこで休む事になった。
部屋に入り周囲を見渡した。室内はベッドが無く、変わったクローゼットや箱や壺が置いてある。毛布の塊みたいな物があり、そこに腰を乗せる。ボヨン…と、柔らかく不思議な感覚を感じた。

新一は身に付けている探検用の装備を外して少し身軽になると、呆然と室内を眺めた。

ふと鏡を見る。そこに映っていたのは新一ではなかった。
自分がいるべき位置に竜を人間にしたような男が座っている。
新一が驚いて立ち上がると、鏡の中の竜も同じように立ち上がった。
「なんだこれは、何が映っているんだ」
新一は鏡に近付き、自分の顔を見つめる。間近で見ると、それはまるでファンタジー小説に出て来るドラゴンの様にも思えた。

(まさか、僕の姿が、こっちの世界ではこんな姿に見られているのか?)

そう思った瞬間だった。
後方から母親が現れる。


「夕食にしますけど…食べますか?」
「あ、はい!頂きます!」

新一は慌てた様子で後ろを振り向きながら答えた。

母親は、穏やかな表情をしながら部屋を出ていく。ホッと安心した新一は改めて、鏡を見ると…そこには何時もの自分の姿が映っていた。

(今のは何だったんだろう?)

不思議に思いながら新一は食堂へと向かう。食堂には体格の良い男性が席に座っていた。多分…フィアナの父親だと思えた。

彼もまたネコミミがあり、シッポが生えている。それに付け加えてヒゲも生やしていた。見方を変えると…まるでライオンの様にも思えた。
彼は、食堂に用意されている干し肉や果実類などをムシャムシャ…と食べながら新一の方をチラッと見ると、木製のジョッキを新一に差し出す。

「お前…飲めるか?」
「は…はい」

新一が答えると、食堂の横に置いてある壺の2人を開けてシャクを入れ、ジョッキに注ぎ込み、新一に差し出す。

「飲め、遠慮はいらん…」

渡された物を一口飲むと、新一は驚いた。差し出された飲みもんは果実酒だった。それもかなりアルコールの強い果実酒である。

「もう…食事前から、お酒は辞めてよね」
「フン、酒が無けりゃメシは食えんのさ」
「ツマミもほどほどにして欲しいわ、全く…」
「ああ…分かった、控えるよ」

そう言いながら父親は新一を見る。

「お前さん、なかなか良い飲みっぷりだな」

少しニヤけた表情で父親は新一を見る。

「結構美味しい酒ですね」
「そりゃあ、そうだ…俺様が作った酒だ」

父親は笑いながら答える。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す