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異世界の獣人たち
官能リレー小説 - SF

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異世界の獣人たち 3

少女(?)は、そう言って少し歩き始める。
その時、竜神は自分の衣服のポケットに入れて置いた白い紐状の布を取り出す。
「これ…君のだろう?」
竜神が、手に握っていた布を見て少女(?)は、顔を紅くしながら急いで取る。
「ど…何処で、見つけたのよ!」
「え…君が倒れたところで」
少女(?)は、木の陰に隠れて布を穿いた。
布を穿き、再び竜神の側へと来る。
(アレって…やっぱフンドシだったか…)
彼女の体の構造から、そう伺えていたが、木の陰から出て来た姿を見て竜神は確信した。
次の瞬間…

パシン!

少女(?)の平手打ちが炸裂し、竜神の頬叩く。
「イテェ、何するのだよ!」
「貴方…今、変な事考えていたでしょう?」
「なんで、そう思うの?」
「顔がニヤついていたわよ」
「それで、人の顔を叩くわけ?」
「ええ…残念だけど、ウチとは…もう二度と関わらないでね」
「ええー!」
そのままぷいっと振り向いて駆け去っていった。

フンドシを出さないでおいてあげた方がよかったかもしれない。
恥ずかしい思いをさせてしまったと、竜神の心中にいささかの後悔がよぎる。
「悪いことしちまったな…だがそのまんま一緒に行くのも疎まれるだろうしな…」
竜神は手鏡を出して自分の身なりにおかしなところは無いか確認する。
服が破れていたりはしてないようだ。
誰かに出会ったときに見慣れぬ衣装を怪しまれる可能性は考えるが、すぐに何とかならなさそうだと頭を切り替える。
「恥ずくて逃走しただけなら、偽装進路は取らないだろうが…情報が無さすぎる。村落か何かが行く先にあると信じるか」
少女(?)の去った方向へ、彼も動き出す。
年端もいかない女の子が一人だけで誰とも接する機会無く暮らしている可能性は…さすがに低いだろうと考えた。
辱めた事を申し訳なく思いながら、少女(?)の去った方向へ追いかけていく。
見失わないぎりぎりの距離を取ってだ。
あちこちに木々が程よく茂っているから、身を隠すのは簡単だった。

「思ったより冷静だな」

竜神の口からそんな言葉が漏れる。
500mほど進んだ時点で、木々が多くなっている箇所があった。
それを利用して彼女は右に曲がったのだ。
偽装進路なのか、それともそれらの木々が目印の役目を負っているのかはわからない。
慎重につけていくうちに、視界が開けてきた。
そして目当ての物が見つかる。
堀らしきものに行き当たった。
小屋や家らしきものが何件も、あちこちに建っている。畑らしいものもあり、作業している人の姿も見えた。
堀の内側には土手があり。その上に木の柵を構築して集落を囲っている。

「潜入したらヤバくなるだけか」

あらぬ疑いをかけられても意味が無いと、入り口を探しそこから入れてもらうつもりで移動する。
堀の周囲は土道のようになっていて、1/4周ほど歩いたかというあたりで、木の柱を立てた門が現れた。

「お前は何者か?」
門に辿り着く直前、門の上の者に誰何された。
「ムッ、貴様怪しい風貌してるな…立ち去れ!」
「え、怪しい者ではありませんが…」
「黙れ!」
その瞬間 ー。ピュンッと風切り音と共に矢が飛んで来た。
(こ…殺される)
そう思って竜神は逃げ出した。少し走り森の中に逃げ込む。
「フゥ…危なかった…」
冷汗をかきながら、竜神は木の根元に寄り掛かる。
すると、クスクス…と森の奥から笑い堪えている者に気付く。
「誰…?」
「ウチよ…」
さっき何処かへと行った少女(?)が彼の前に現れた。
「まあ…あんたの様な風貌では、村には入れないでしょうね。相当村の主に説得して見ない限り無理でしょうね」
彼女の言い方を聞いて竜神は、ワザと彼女がこうなると分かっていて、村の近くまで歩いていたのだと気付く。
「こうなる事を前提に考えていたんだね…君は?」
「さあ…どうでしょうね?あんたがどうなろうとウチは知らないわ。まあ…森を出て異国に行けば、何とかなるでしょう、あとは御自由に生きてね。ウチは、これでサヨナラするわ」
そう言って少女(?)は、手を振って再び立ち去ろうとする。
「あ…ちょっと待って!」

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