かえして 1
それは、巨大隕石が衝突から発生した数々の怪物、通称『Monster』が、世界中に生息することになった矢先の話だ。
日本各地から、女性がまるで神隠しにあったかのように行方不明となるニュースが巷を騒がせたのは。
これは、不死の肉便器と成り果てた女性達と、『Monster』の物語であるーー
ーーかえして
彼女の尻。腟。口の中を、三本の管が塞いでいる。
透明の管内から視認できるのは、白濁色の液体だった。
ーーたすけて
管によって塞がれた口元を、力なく動かし、呟く。
口元の空いた僅かな隙間から、ゴポッと。
どろどろの白濁液が溢れた。
彼女の胸元へ、口を塞いでいた管はようやく剥がれ落ち、流れ出る液が、そのまま彼女の全身を汚した。
ーー
西暦3000年。
世界は混沌に満ちていた。
突如墜落した隕石の衝突により、人類を脅かす『monster』が現れる。
瞬く間に世界中に蔓延。
以後、世界は『monster』で満ち溢れている。
日本も例外ではない。
現在も、多くの人間達が『monster』によって殺害されている世の中。
核兵器。拳銃。ライフル。戦車。空爆。
世界中の人間が各が持てる全ての戦力を『monster』討伐に向けているのだ。
しかしーー
『Monster』の戦力は、人間の予想を遥かに上回っていた。
核兵器が通用しないわけではない。
拳銃が効かない訳でもない。
ライフルだって効くのだ。
ただ、怯ませることができるだけで、殺すことができない。
そう、『Monster』は不死身なのだ。
無数にわく『Monster』に対して、アメリカやロシアが中心となって幾多の戦力を投じているが、死人の数が止むことはない。
そこで日本は、極秘の研究を行うことにした。
『Monster』育成計画である。
『Monster』を捕らえ、手懐けさえすれば、現状を打開する駆逐する第一歩に繋がるのではないか。
そう考えた日本は実験を開始するが、見事に失敗に終わる。
運良く捕らえることができた『Monster』。研究所内にいた者は皆惨殺されてしまったのだ。
だが、日本は新たな可能性を掴むことができた。
研究所内にいた女から、『Monster』の体液、つまり精液を採取できたのだ。
被害が広がる一方、日本は『Monster』の遺伝子を研究。
その結果、女性の胎内で『Monster』を産み育てることが可能であることがわかった。
日本はこの可能性に賭けた。
ヒトと『Monster』のハーフが生まれれば、『Monster』の息の根を止められるのではないかと。