処女搾乳物語〜their daily life〜 137
メルキュレーナー…恐らくは水星神メルクリウス(英名マーキュリー)に該当する神のライラファースでの呼び方なのだろう。クリスタルで出来た大きな建物のあちこちに美しい泉が湛えられている。水とクリスタルがマッチした、透明感溢れる建物の壁に青白く光る月が映っていた。
(は…ははっ、こりゃぁ…なんとも…凄いねぇ…)
昼間の水族館に負けず劣らず、である。一人感心している(あきれている)秀憲を置いてフィーナと運転手をしていたラナが会話をしていた。
「ご苦労様ラナ。明日、迎えもお願いね?」
「はい、明朝7時にお迎えいたします。お嬢様と秀憲様のお荷物もお持ち致しますか?」
「お願いするわ。私達はそのまま直接ビーチへ向かいますからね。」
「分かりました。それでは素晴らしい夜をお過ごしください。」
そのまま車に乗り去っていくラナ。どうやら明日の打ち合わせをしていたようだ。
「ごめんなさい、お待たせしちゃいましたね。さっ、いきましょ?秀憲さん」
そのまま嬉々とした表情で中に入るのだった。
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どうやらフィーナは顔パスらしい。そのまま通された先は最上階の高級料亭の個室であった。
ホテルの最上階に位置する、恐らくはVIP専用と思われる個室。大きな窓の外には夜のライラファースの街が広がり、宝石を思わせるような夜景が映し出されていた。
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「秀憲さんどうしました?はやく乾杯しましょ?」
「えっ?あ、はい。」
一般市民階級(笑)である秀憲はこんな凄い所での食事など慣れていないのだろう。今の状況に戸惑っているようだ。
「大丈夫ですわ。誰もいませんから気楽に食事しましょ?」
そんな秀憲の様子が分かったのだろう。フィーナがその場を和ませる。
そうしているうちに料理などが運ばれてきた。
「ところで…お酒、大丈夫ですよね?」
スッとグラスを上げるフィーナ。その姿と相俟ってとても様になっている。
「え、ええ。一応未成年ですけどね」
苦笑しつつも応じる秀憲。
「あら?この星では華燭をなしたものは皆成人ですわ」