パラレルワールド 8
「でも、僕が大学病院に行くようにさやかちゃんのママに言ったのは、さやかちゃんなんでしょう」
「状況が変わった」
さやかちゃんは上下に揺れながら少し目をそらした。
「怪しまれるから、今は、セックスに集中しよ」
さやかちゃんは、そう言って、動きながら演技とは思えない喘ぎ声を上げ続けた。僕も感じたままに叫び続ける。
「春くん、春くん…気持ちいいぃっ!」
「さやかちゃん、最高っ!イクよ、イク!」
そうして僕はさやかちゃんの中に液をたっぶりと送り込んだ。
さやかちゃんはティッシュで発射した場所と受け止めた場所を拭いたあと、僕に寄り添ってベッドに横になった。
「ほんとは、だんだん分かってもらう予定だったのだけど、説明するよ。春くんには、実は、パラレルワールドから、来てもらったんだ」
「は?そんなバカな」
僕はふざけてさやかちゃんのおっぱいにパクッと食いついてペロペロ舐めた。
「ちょ、ちょっと!くすぐったいよ。」
でもさやかちゃんは嫌がらなかった。
「ふざけたこと言うともっと舐めちゃうよ。それに、さっき逃げるとか言ってたけど、どこに逃げるの?」
「逃げるなら明日の夜ね。しばらく私の家で暮らすことになるよ。妹さんも一緒にね。私のママすごく頼りになるんだから。」
「なんで明日の夜に?早いほうがいいんじゃない?」
「明日伊藤先生の問診があるでしょ。それである程度向こうの出方がわかるから対応できる…伊藤先生、味方のはずだったんだけど…まあ、どうしてそうなったか、可能性はいくつか考えられるけど…安心して。どっちにしても、私達に危害を加えても向こうの得にならないから、大丈夫のはず」
僕は天井を見ながら少し考えた。確かに、記憶の一部を失っている、よりは、パラレルワールドから来た、のほうが、荒唐無稽ではあっても、現状に合っているような気がする。
「あ、春くん、これも説明しておかないといけないかも。夏奈さんには、ちょっと演技してもらっていた」
「え?演技?特におかしなところなかったけど。」
「夏奈さんの話は明日ね。もう疲れちゃった。」
さやかちゃんは僕を抱きしめたまま寝てしまった。夏奈のこと気になるけど、まあいいか。
女性の体って気持ちいいんだな、と思いながら僕も寝た。
初めての女性の体で興奮してもいるのだが、それ以上にいろいろあって眠りに落ちることができたのだった。
翌朝、カーテンから漏れる光で目が覚めた。さやかちゃんはもうベッドから出ていた。
さやかちゃんに手伝ってもらって包帯を巻いた部分にお湯が当たらないようにシャワーを浴び、そのあとナースが持ってきた朝食を二人で食べた。
テレビでは朝のニュースをやっている。ニュース番組のタイトルや局の名前は記憶と同じだが、女性キャスター二人でやっているところが「パラレルワールド」ということなのかもしれないと感じられた。
若者が集まる街のスクランブル交差点の朝の雑踏が映し出される。