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パラレルワールド
官能リレー小説 - SF

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パラレルワールド 6

「夏奈のこと忘れるわけないだろ。もうすぐ面会時間も終わるから今日は帰れ。」
僕の手を両手で握ってくるのは夏奈のクセだ。それに、小さい頃からお母さんや夏奈にこうやって両手で手を握られるのが、僕も好きだった。
「あのさ、お母さんは、外国で仕事してるんだよな?」
「うん。そうだよ。それじゃあ帰るね。」
お父さんの事はなんか聞きづらい。
一応、昭雄にも入院するって連絡しておくか。
「あれ?あいつの電話番号も何も登録されてない。さっきまであったのに。」
「どうしたの?」
さやかちゃんが聞いてくる。
「さやかちゃんは、佐鳴昭雄って知ってるか?」
「え?だれ?そのひと?」
「僕の友達でクラスメートだよ。」
さやかちゃんが首を少しかしげながら答える。
「そんなひと、うちの学校にいたっけ?」

 背筋が寒くなった。僕の記憶では、体育の授業に行くために教室を出るまでは、昭雄は確かにいたのだ。
 校庭に出てからは…僕は再び頭を抱えた。確かに昭雄を見た明確な記憶はない。

 「もしかして、あきちゃんのことかな?そういえば、佐鳴っていう苗字だったかも」
 「あきちゃん…?」
 「佐鳴あき、春くんの幼馴染だよ…確かに少年みたいな感じだから、記憶が混乱して男って思っちゃってるのかな?」
自分の記憶といろいろ違いすぎて混乱してきた。
あいつ女だったけ?でも胸もなかったし、話し方も男の話し方だし、男の制服着てるし。
さやかちゃんが最近の写真を見せてくれた。
僕と昭雄(あきちゃん)が笑顔で仲良く手を繋いでピースしてる写真だ。
「ほら、これ。」
「女だ。しかも美少女だ。女の制服着てる。さやかちゃんほどじゃないけど、おっぱいもちゃんとある」
 …だとすると、記憶で、奴が制服のズボンを脱ぎながら「更衣室?」と言ったのは「あきちゃん」が制服のスカートを脱ぎながら言ったことなのだろうか?
 でも、そもそも教室の着替えの記憶も怪しくなってくる。
 「ねえ、さやかちゃん、その体操服、教室で着替えた?更衣室で着替えた?」
 さやかちゃんは、例のビキニのような体操服にウインドブレーカーを羽織っている。
 「え、何でプールが出てくるの?」
 僕は少しホッとした。あの教室の記憶は大筋で間違っていなさそうだ。

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