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パラレルワールド
官能リレー小説 - SF

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パラレルワールド 5

 僕は頭を抱えた。また、記憶と違う話が出てきた。
 母さんは、確かに英語関係の仕事をしていたが海外でやるような仕事ではなかったはず。それに父さん…数日前、つまらないことで…つまらないから内容は忘れたが…怒られたばかりなのに…父さんが、事故でいないなんて?!
 僕はポケットの携帯に手をかけた。さやかちゃんが登録されていない、今のところ記憶通りの携帯。
  僕はそれを取り出して父さんや母さんに電話したい衝動に駆られた。
 でも、医者が説明している前でそれをやるのはさすがに躊躇した。
伊藤先生の説明が一通り終わると、牧村先生に病室に案内される。さやかちゃんも病室に泊まるようだ。
「1人で泊まるのは退屈でしょ?」
「それはうれしいけど。」
この病院に入ってから男の先生が見あたらない。
「春木君の部屋は特別に個室にしたから」
個室には大きいベットとテレビとソファーとパソコンと冷蔵庫があった。あと、シャワールームもある。
 ここに落ち着く前に、携帯で父さんと母さんに電話してみていた。いずれも、聞き慣れたキャリアの名前ともに「この電話番号は、現在使われておりません」のアナウンスが流れた。
 「春くん、ガラケーだったっけ?」
 さやかちゃんが僕の知らない、または失っている、単語を言った。

 「お兄ちゃん!大丈夫?!」
 「夏奈、早かったな」
「あっ。さやかお姉ちゃん。こんにちは!」
「こんにちは。夏奈ちゃん、今日もかわいいね。胸もまた少し大きくなったんじゃない?」
「えへへ。そうかな?」
妹は照れながら返事をする。夏奈は中学生だ。もっぱら家の事は夏奈任せだ。頭もいいし僕よりしっかりしているけど、中学生になっても僕と一緒にフロに入ろうとする。夏奈もさやかちゃんの事を知っているみたいだ。

 「着替えとか持ってきたよ」
 夏奈はベッド脇のテーブルに荷物を置いた。
 「お兄ちゃん、私のことは、覚えててくれたんだよね。よかった!お兄ちゃん記憶無くしちゃったかも知れない、って聞いて、私のこと忘れられちゃってたらどうしよう、って思ってたんだ」
 夏奈はさらに僕に近づき、両手で僕の手を握った。

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