パラレルワールド 39
大学の女たちとも何人か関係を持っているし、たまに、高校にも顔を出して後輩たちや先生たちとセックスしている。
僕と知り合った女たちが、僕の面倒をしっかり見てくれるからお金の心配もない。
「バイトとかしてみよーかな」
「お金のことなら心配しなくても大丈夫だよ。」
「お金のことじゃなくて、なんとなく、新しいことやってみよーかなって思っただけだよ。」
「春木がバイトするなら、私もやってみようかな。」
有希が買い物してるときに、バイトを紹介してる雑誌を見ていた。
「買い物終わったよ。」
「女の人向けの仕事ばかりで、なかなかこれっといったものが。」
有希が僕と一緒に見ようとして、僕のそばに寄ってきた。
「男の人の仕事って少ないね。パソコンで調べてみれば?」
「そうか」
僕はポケットからスマホを取り出した。スマホはもう、この世界に来てから買い替えている。
サイトを検索すると、前の世界でも知っているバイト検索サイトが出てきた。
地域名のほか「男性歓迎の職場」という項目にチェックを入れて検索した。
「ああ、マック、って手はあるな」
マックには何回か行っていて、中年男性の恐らく管理職がいることは分かっていた。
「え?大丈夫?あそこってそこそこ肉体労働だよ。」
確かにお客さんもたくさん来るし、やることも多そうだ。大学にもいかなきゃならない。
「無理して働かなくてもいいんじゃない。」
誰かさんの影響のせいか、有希は高校生の時と比べて積極的になっていた。人前でもキスをしてきたり、僕に体を預けたりするぐらいだ。
「おいおい、家に帰るまで我慢しろよ。」
「そうね。それじゃあ、そろそろ家に帰りましょうよ」
「そうだな」
僕たちは有希の家に帰ることにした。
「あら!さやかさんじゃない」
家に帰ってみると、入口の前にさやかが立っていた。
「どうしたんだ?さやか」
僕の顔を見て、さやかは目を潤ませた。
「久し振りに春木に会いたくなって。…それとあと…」
そう言うと、さやかはバッグから2枚のチケットを出した。それはプロ野球の試合のチケットだった。
「これ、博輝が私に送ってくれたの。春木と一緒に見に行きたいと思って…」
新条博輝は僕たちが通っていた高校の野球部のエースだった女子で、さやかのクラスメイトでもあった。彼女はドラフトで指名され、今は某プロ野球チームでプレーしている。
「ねえ春木、お願いだから、今度の日曜、一緒に見に行ってよ」
さやかは両手を合わせて僕に頼んだ。
「春木、一緒に行ってあげなよ」
傍で見ていた有希も言った。